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垣田達哉「もうダマされない」

道民に外出自粛要請の北海道知事、自身は首相官邸に出張の“欺瞞的パフォーマンス”

文=垣田達哉/消費者問題研究所代表
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鈴木直道北海道知事のTwitterより

 新型コロナウイルス感染拡大を受け、2月27日に安倍晋三首相は、公立小中高校と特別支援学校に臨時休校の措置を取るよう要請すると表明。全国の学校現場や子どもがいる家庭、企業を巻き込む混乱が生じ、安倍首相は29日に急遽、会見を開いたが、一斉休校要請を判断した根拠を具体的には提示しなかった。

 本稿では、新型コロナウイルス感染拡大をめぐる一連の政府の対応について、一般の人の会話形式を通じて疑問点を掘り下げてみたい。

※以下、内容はすべてフィクションです。

A「北海道が2月28日、『緊急事態宣言』を発表した。先週末は外出の自粛が呼びかけられた」

B「まるで中国の武漢みたい。北海道は、そんなにウイルス感染が広まっているの?」

A「確かに都道府県のなかで感染者数は一番多く、死亡者も出ている。でも、たった2日間だけ外出自粛を呼びかけても、どこまで効果あるのかわからない」

B「でも、2日間でも外出したら感染する可能性が高いという意味にも受け取られる。北海道に行くことを恐れる人が出てくるかもしれない」

A「素早い対応だと評価する声もある」

B「でも、もし危険ならば、完全封鎖しなければいけないという意見も出てくるのでは? 2日間は北海道に行くことも、北海道から他の県に行くことも禁止にするべきという考え方です」

A「それをすると、本当に武漢になってしまう」

B「でも、外出自粛ということは、同じことではないのかな。2日間で収束するわけではないし、冬の北海道は寒いので、インフルエンザと同じならば、夏の涼しい時期でも新型コロナウイルスは死滅しないのではないか」

A「WHO(世界保健機関)も専門家も、新型コロナウイルスは夏には収まるとは誰も断言していない。緊急事態宣言が発表された場所で、オリンピックのマラソンを開催できるのだろうか」

B「緊急事態宣言の実施期間は3月19日までだけど、2~3カ月間感染者が一人も出ませんでした、ということにならなければ、期間が終了しても、みんな納得しないのではないか。特に外国の人は、マラソンを見に来ないかもしれない」

A「北海道庁は、緊急事態宣言によってどのような影響が生まれるのか、きちんと考えているのだろうか。とても中途半端だし、単なるパフォーマンスに見えてしまう。今まで記者会見の時にマスクしてなかった知事が、緊急事態宣言の時にいきなりマスクしていましたしね」

B「部屋の中でも要注意で自分も感染しているかもしれないから、記者の人にうつしたら大変だからマスクをしたということでしょう。感染している可能性があるなら、それこそ自宅待機すべきという話になる」

幼稚園や保育園は休校にせず

A「安倍首相は全国の公立小中高校と特別支援学校を1カ月以上休校にすると宣言した。海外の人たちに、日本は中国と同じくらい危険という印象与えてしまわないだろうか」

B「子どももウイルスに感染する危険な国だというイメージを持たれてしまう」

A「だけど、小中高校は休みだけど、幼稚園や保育園、学童保育は休校にしなくていいというのは、どう考えても納得できない」

B「小学生より上の年齢の子どもは危険だけど、小学生より小さい子どもは安全だということになる。でも、免疫力が低くて体力が少ない幼稚園や保育園の子どもほうが心配です」

A「首相自ら危機を煽っているような気がする。29日の記者会見の影響で、日本中オイルショック以上のパニックになってしまった。マスクどころか、ティッシュペーパーのような紙製品だけではなく、米や食パンまで買いだめする人続出して、まさに“コロナショック”が起きている」

B「納豆や缶詰、カップ麺といった加工食品や生鮮食品も買いだめされている」

A「そうなると、今度はミニ冷凍庫やミニ冷蔵庫が売れるかもしれない。国が危機を煽るから、消費者は『危機に面しているから何かしなきゃ』という強迫観念を植え付けられている。一番冷静にならなきゃいけない国と一部の地方行政が大慌てしている。混乱に拍車をかけているのは、国民じゃなくて国のほうではないか」

B「マスクも、政府は『大量生産している』『不足しない』と言い続けているけど、いまだに店頭では在庫切れが続いている」

食い違うWHOと日本政府の見解

A「マスクといえば、WHOは『マスクはしなくていい』と言っています」

B「でも日本では、政府や専門家が飛沫感染防ぐためにマスクをするよう呼び掛けている」

A「確かに、マスクをしていても完全に防げるわけではないけど、他人の咳やくしゃみを直接受けないで済むから、しないよりしたほうがいいと専門家は言っています」

B「では、なぜWHOはマスクはしなくていいと言っているの?」

A「咳やくしゃみの症状がある人はマスクをする必要があるけど、そうではない人は『マスクをしないからといって感染する確率が高くなるわけじゃない』とWHOは言っている」

B「つまり、マスクしている人は感染している可能性があり、感染していない人はマスクをしなくていいということ?」

A「WHOの言うことを信じると、『北海道知事は咳やくしゃみの症状があるから、他人にウイルスをうつさないようにマスクをしている』ってことになる」

B「でも、WHOの言っていることも矛盾していませんか? 咳やくしゃみの症状があるということは、ウイルスを拡散させる可能性があるからマスクをすべきということですよね? そもそも感染している可能性がある人が出歩くこと自体、避けるべきでは?」

A「日本だけではなく、WHOも含めて世界中がコロナパニックのよう。なぜ、もっと冷静にならないのかな?」

B「安倍首相は、政府がマスクを買い上げて北海道に配布すると言っています。マスクをしないと感染する、つまり日本人は全員マスクをしてくださいということなのかな」

A「WHOは『マスクは必要ない』と言い、日本の首相は無料でマスク配ると言う。どちらを信用すればいいのだろうか」

B「しないより、したほうがいいのではないか。私も家内に言われて毎朝、会社に行く前にドラッグストアに並んで、やっと昨日買えた。マスクがいらないと言われても、私はマスクをする。ところで、安倍首相はどのくらい配ると言っているのだろう」

A「一世帯当たり20枚らしい」

B「北海道には何世帯あるのだろう」

A「全世帯に配るわけではないけど、感染者の多いところだけに配るかたちにしても、北海道の人たちは納得するかな? ちなみに、北海道庁のホームページ見たら、278万世帯ある」

B「ということは、278万×20だから5560万枚」

A「記者会見で安倍首相は、3月は1月の生産量の2倍以上の6億枚生産すると言っていた」

B「つまり3月生産分の10%近くを北海道に配るということになる。感染者が多い北海道の人たちに優先的に配るというのは理解できるけど、他の県の人たちにマスクが行き渡らなくなる恐れはないのかな」

A「1月に3億枚近く生産しているのに、それはどこに行ったのだろう。6億枚といっても、医療関係や行政関係に優先的に配布されるだろうから、一般の人々まで行き渡るかどうか」

B「北海道知事は、わざわざ29日に首相官邸を訪問したかいがあったということになるのかな」

安倍首相は毎夜、酒食三昧

A「北海道知事は緊急事態宣言を発表して道民に週末の外出を控えるよう呼びかけたのに、自分は東京まで外出している。言っていることとやっていることが反対だから、おかしい。

B「安倍首相は記者会見で、テレワークを推奨していたけど、緊急事態宣言が出ている北海道の知事と面会して、感染したらどうするんだろう。テレビ電話などを使えば、直接会う必要はなかったのではないかな」

A「もし知事が首相に感染させたとなれば、どうなるのか、わかってないのではないか。自分が北海道を助けているんだというパフォーマンスをしたいだけなのではないか」

B「安倍首相も危機感が薄い」

A「専門家会議は、外出を自粛するよう呼び掛けているのに、安倍首相はお友達と毎夜酒食三昧。野党が追及したら『飲み会は意見交換会だ。何が悪いのか』と言っていたけど、意見交換ならテレワークですればいい。無症状でも感染している人がいるというのに、呑気というか、向こう見ずというか、呆れてしまう。もしも首相が感染したとなれば、世界から日本がどうみられるのか」

(文=垣田達哉/消費者問題研究所代表)

垣田達哉/消費者問題研究所代表、食品問題評論家

垣田達哉/消費者問題研究所代表、食品問題評論家

1953年岐阜市生まれ。77年慶應義塾大学商学部卒業。食品問題のプロフェッショナル。放射能汚染、中国食品、O157、鳥インフルエンザ問題などの食の安全や、食育、食品表示問題の第一人者として、テレビ、新聞、雑誌、講演などで活躍する。『ビートたけしのTVタックル』『世界一受けたい授業』『クローズアップ現代』など、テレビでもおなじみの食の安全の探求者。新刊『面白いほどよくわかる「食品表示」』(商業界)、『選ぶならこっち!』(WAVE出版)、『買ってはいけない4~7』(金曜日)など著書多数。

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