その結果、ニュースは横並びではなくなります。癒着と言われるかもしれませんが、政府側も緊張感をもって取材に対応していますし、政府に取り込まれないように現場の記者教育はしっかりしています」

「『特別に質問する利権』を守りたい」

 だが、そもそも政府高官の自宅に夜討ち朝駆けしたり、囲み取材したりするのには、常時首相官邸に出入りできる官邸記者クラブに属していなければできない。官邸記者クラブは基本的に全国紙などでつくられていて、フリーランスは加入できない。

 安倍晋三首相の会見を含む、各省庁の記者会見はフリーランスにも開放されているが、それらが「政府の方針を確認する場」にすぎないのなら、政府側と大手メディアで構成される記者クラブでつくる茶番と批判されても致し方ないだろう。

 別の新聞社社会部記者は次のように話す。

「これまでもこの問題には多くの指摘が寄せられ、新聞協会や新聞労連などでも研究が続けられてきました。日本新聞協会は2002年に『記者クラブに関する日本新聞協会編集委員会の見解』とするガイドラインを発表し、開かれた記者クラブや会見のあり方を打ち出しました。

 しかし、確かに会見は開放されてきましたが、質疑の深さに関しては以前より劣化した印象です。会見で、すべてをつまびらかにしてしまえば、雑誌やネットメディアにも同じ深度のニュースが載ってしまうからです。その結果、質問の事前通告が徹底化され、通告外の的を射た鋭い質問は少なくなってしまいました。プレスリリースプラスアルファの内容しか、会見ではわからなくなってしまったのです。

 端的にいうと新聞社は『特別に質問できる利権』を守りたいのです。警察取材でも官邸記者会をはじめとする政治取材でも、新聞社や大手通信社に所属しているか、そうでないかで対応や取材の自由度に歴然とした差があるのは事実です。ただでさえ部数や視聴率が落ちている現状で、新聞社やテレビ局は自分たちの大きなアドバンテージを失うわけにはいきません。

 非常に残念なことですが、大手記者がフリーランスの記者に対して『会見をかき回すな』『胡散臭い』『得体が知れない』などと陰口を言って忌避する光景がよく見られます。そうした記者たちは内心、『フリーと同じ土壌で戦ったら勝てないかもしれない』という不安感があるのだと思います。つまり、今の官邸記者会や各警察記者会に、江川紹子さんと互角に競えるジャーナリストがどれだけいるのか、ということです」

 メディアが競争し合って、それぞれの切り口で政府や社会の問題点を指摘することは大事なことだ。健全な競争の中でこそ、良質なニュースが生まれる。メディア各社には改めて現在の会見やフリーランスのあり方に関して、議論を進めてもらいたい。

(文=編集部)

 

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