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石原結實「医療の常識を疑え!病気にならないための生き方」

新型肺炎、中国人の裕福化&飽食も原因?「葛根湯・カレー・サウナが効く」は本当?

文=石原結實/イシハラクリニック院長、医学博士
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新型ウイルス肺炎が世界に拡大 各国で警戒(写真:AP/アフロ)

 2019年12月8日に中国(武漢)で「41人が原因不明の肺炎を発症した」と発表された後、中国はおろか、日本、韓国、タイ、シンガポール、マレーシア、ベトナム、香港、台湾などアジア諸国のほか、ドイツ、イタリア、フランス、英国、ロシアなど欧州、UAEやイランなど中東にも新型コロナウイルスの感染が広がっている。

 3月2日現在、中国本土での感染者は8万人以上、死者は2900人以上、日本では感染者が200人以上、死者が6人で、世界的パンデミックの様相を呈してきた。

 原因はコロナウイルスであり、感染予防のために、

(1)マスクの着用

(2)手洗い(特にアルコール消毒)の徹底

(3)飛沫、接触感染を防ぐために、人が集まるところへ行くことを極力避ける

などが官民挙げて推奨されている。そのため、マスクや消毒用アルコールが品薄になり、手に入りにくい状態になっている。さらに、トイレットペーパーの品薄説がインターネット上で拡散している。品薄説の根拠は「トイレットペーパーからマスクがつくられている」「中国からの輸入がストップする」というもので、いずれもガセネタである。マスク、トイレットペーパーはほぼ100%が国産品であり、マスクは「不織布」、トイレットペーパーは「パルプ」や「古紙」からつくられている。

(3)により、スポーツ界、芸能界を問わず、企業や個人が行う種々のイベントの自粛、延期、中止がなされ、東京マラソンの一般参加ランナーの参加拒否、大相撲春場所の無観客開催、サッカーやラグビーの試合の開催延期などのほか、甚大な数のイベントに影響が出ている。

 そして、政府の要請を受け、3月2日から全国のほぼすべての公立小中高校や特別支援学校が休校となっている。

 こうした措置は、西洋医学の感染防止対策として最良のものであることは間違いない。テレビ番組などに出演して新型コロナウイルス対策を語っている感染症の専門家の言っている内容は、みな似たり寄ったりで、とにかく「コロナウイルスの体内への侵入を遮断する」という一点について手を変え品を変えて述べているだけである。

 そもそも、コロナウイルスに100人が感染したとすると、

・80人……無症状、または軽症(風邪程度の症状)

・20人……中等~重症化(うち17人は治療により治癒、3人が死亡)

となり、「致死率3%」の肺炎なのである。しかも、死亡する人は、慢性の呼吸器病(喘息、肺気腫など)、慢性の心臓病、腎臓病、肝臓病、中等度以上の糖尿病など「免疫力の低下する持病のある人」である。

 こう見てくると、新型コロナウイルス肺炎は、やみくもに恐れる必要はなく、よく言われているように「正しく恐れよ」が正しい。つまり、免疫力の強い人は、感染しないか、感染しても治癒するのだ。

葛根湯の効能

 オランダの医学誌「Respiratory Medicine(呼吸器医学)」(2017年10月号)に、2210人の男性(42~61歳)を25年以上、「サウナの利用頻度が肺炎発症にどう関連するか」について追跡調査した論文が掲載されている。

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 サウナに入る回数が多い人ほど、肺炎のリスクが低いことがわかる。

 風邪薬で有名な「葛根湯」は、2000年も前のウイルスや細菌などの概念のない時代の漢方薬だ。漢方薬は「自覚症状、他覚症状、診療所見」(これを「証」という)を判別して処方される。根湯処方の「証」は「寒気、発熱、咳、筋肉のだるさ」などである。コロナウイルス肺炎の初期症状はまさに「葛根湯」の証であり、葛根湯を服用すると、重症化を防いだり、軽症の場合、治癒させる可能性がある、と私は確信している。

 また、武漢からインドに帰国した645人のインド人全員がコロナウイルス感染陰性だったということで、「カレーが効果あり?」という説が流布しているが、生姜、ターメリック、ウコンなど、約10種類の体を温める「ハーブ」を含んだカレーは食べているときから発汗する。サウナに入ると多量の汗が出る。葛根湯も服用後、約30分もすると発汗が始まる。

「運動、入浴、サウナなどで汗が出始める頃は体温が1℃上昇しており、1℃の体温上昇は免疫力を数時間4~5倍に上げる」という研究もある。よって、日頃から熱い味噌汁や鍋焼きうどん、豚汁、すき焼き、生姜紅茶などを積極的に食べて汗をかき、葛根湯を用意しておけば、新型コロナウイルスの予防・対処法になる、ということを2月27日のラジオ番組『生島ヒロシのおはよう一直線』(TBSラジオ)で述べたら、聴取者の方々からかなりの反響があったらしい。葛根湯もその日は全国でかなり売れたという。なにしろテレビ、ラジオでは、コロナウイルス対策については手洗い、マスク、人混みを避けるなどの方法しか語られないのであるから。

栄養過多が感染を誘発するとの研究も

 古代ローマ、ギリシャ、エジプトの文明は、その栄華を極めたときに、痘瘡、麻疹、マラリア、発疹、チフス、ペストなどで人口が減り衰退していった。国や文明を築くときは、人々は粗食で、隣国と戦い、肉体を酷使しながらも健康であるが、いざ国や文明がつくられてしまうと貴族を中心とした上流階級の人々は体を動かさなくなるうえに、飽食に陥る。ローマの貴族たちは鳥の羽で喉をくすぐって吐きながら美食の宴会を3~4日こなしていたという。

 美食・飽食は体内に栄養過剰物や老廃物を多くつくり(漢方医学でいう「血液の汚れ」)、細菌やウイルスに好餌を与え、感染症蔓延の原因になる。

 米国ミネソタ大学医学部の教授だったM.J.マレイ博士が世界的に権威のある英国の医学誌「Lancet」に発表した論文には「食べすぎが病気をつくる」事例がたくさん掲載されている。1975年、マレイ博士らが飢饉のサハラ砂漠を訪れ、遊牧民に食料を与えたところ、その食糧供給が始まって間もなくすると、突然、マラリアが発生したという事実をきっかけに、「栄養過多がさまざまな感染を誘発する」と結論づけられている。また、以下のような事例も報告されている。

(1)飢饉のとき、エチオピアのソマリア遊牧民に食料の供給が行われると、マラリア、ブルセロージス、結核などの感染症が突然起こった。

(2)中世時代のイギリスにおける痘瘡は、貧しい人々より金持ちの人々をより多く苦しめた。

(3)第一次大戦中に発生したインフルエンザにおいては、十分に栄養が行き渡っている人々に最大の死亡率が示された。

(4)第二次大戦中、ある過密状態にあったキャンプにおいて、低栄養状態におかれた人々が麻疹やチフスに対して最低の罹患率を示した。

(5)1830年代にE.チャドウィックがイギリスの刑務所において行った調査によると、十分に栄養を与えられた囚人の、疫病の罹患率は23%、死亡率は0.4%。十分に栄養を与えられなかった囚人の罹患率は3%、死亡率は0.16%と有意な差が認められた。

(6)インドでは乾期に草がなくなると家畜の餌が少なくなり、動物はやせ細るが、家畜の伝染病の罹患率は最低になる。モンスーンの季節になり雨期になると動物の餌となる草が茂り、それを食べて家畜が太ってくると家畜の伝染病が急激に増してくる。

 以上、マレイ博士が集めた事例は多岐にわたっている。つまり、「低栄養のほうが感染症に対して抵抗力が強く、高栄養では抵抗力が弱くなる」わけだ。臨床医学の現場からも、「極度に栄養状態の悪化している患者に点滴により高栄養を与えると、肺炎など重篤な感染症を起こすことがよくある」ことが報告されている。

 私が33年前に訪れた中国では経済状態が悪く、食事も粗食だったのだろう、通りで行きかう中国の人々はみな細身であった。今は、日本より金持ちの経済大国になり、多くの中国人が美食・飽食に陥っている。これこそがコロナウイルスによる新型肺炎の蔓延の真因であるといってよいのではないか。

 火薬、紙、羅針盤など多くの文明の利器を発明・考案した優秀な中国民族の頭脳は、きっとこの点に気づき、今後の感染症対策のひとつにしてくれることを願う。美食・飽食のなかにどっぷりつかっている日本人も、コロナウイルスの蔓延の本当の原因に、思いを致してほしいものだ。

(文=石原結實/イシハラクリニック院長、医学博士)

石原結實/イシハラクリニック院長、医学博士

石原結實/イシハラクリニック院長、医学博士

1948年長崎市生まれ。長崎大学医学部を卒業後、血液内科を専攻。「白血球の働きと食物・運動の関係」について研究し、同大学大学院博士課程修了。スイスの自然療法病院B・ベンナー・クリニックや、モスクワの断食療法病院でガンをはじめとする種々の病気、自然療法を勉強。コーカサス地方(ジョージア共和国)の長寿村にも長寿食の研究に5回赴く。現在は東京で漢方薬処方をするクリニックを開く傍ら、伊豆で健康増進を目的とする保養所、ヒポクラティック・サナトリウムを運営。著書はベストセラーとなった『生姜力』(主婦と生活社)、『「食べない」健康法』(PHP文庫)、『「体を温める」と病気は必ず治る』(三笠書房)、石原慎太郎氏との共著『老いを生きる自信』(PHP文庫)、『コロナは恐くない 怖いのはあなたの「血の汚れ」だ』など、330冊以上にのぼる。著書は韓国、中国、台湾、アメリカ、ロシア、ドイツ、フランス、タイなど世界各国で合計100冊以上翻訳出版されている。1995~2008年まで、日本テレビ系「おもいッきりテレビ」へのレギュラー出演など、テレビ、ラジオ、講演などでも活躍中。先祖は代々、鉄砲伝来で有名な種子島藩の御殿医。

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