しかし、もともと商社の強みだった資源・エネルギー・食糧の3分野が最近になって息を吹き返しています。資源や食糧は需要や価格が安定しないので、売り上げの変動が激しく、黒字と赤字を繰り返すことになりますが、だからこそ長期的なビジネス戦略の取れる商社の出番なのです。また、世界中にネットワークを構築している商社だからこそ、全世界での取引が可能で、食糧の安定供給に商社は欠かすことができないプレイヤーです。エネルギー分野においては、再生可能エネルギーがこれから伸びる分野で、これまで商社が培ったスキルやネットワークが本領を発揮できる分野です」

勢いに乗る三菱地所

 商社全体が息を吹き返し、5大商社のトップに立つ三菱商事は売り上げを伸ばす。当然、グループ内での地位は自然と上がる。こうなると、三菱重工と三菱UFJ銀行を凌ぐ発言力を持つようになると思われがちだが、実際は簡単に序列が入れ替わることはないのが実情のようだ。

 そして、御三家に迫るほど勢いをつけているのが、“丸の内の大家さん”と呼ばれてきた三菱地所だ。丸の内という一等地に安住してきた三菱地所だが、ここ数年間は“丸の外”で奮闘してきた。それらが実を結びつつあるなかで、再び丸の内に目線を向けている。

 三菱地所は21年からの今後10年間で、大丸有(大手町・丸の内・有楽町)に6000億円〜7000億円を投資すると発表。大丸有が再び変貌しようとしている。三菱地所にとって、10年間で6000〜7000億円という投資額は決して大きな額ではない。これまでにも三菱地所は大丸有の開発に十分すぎるほどの莫大な投資をしてきたが、さらに投資をするのだ。それだけに、今回の発表は「大丸有開発の主導権を取りにきた」「三菱グループ内での覇権争いではないか?」といったさまざまな憶測を呼んでいる。

 三菱重工と三菱UFJ銀行が逆風にさらされているのを尻目に、三菱商事、そして三菱地所が着々と歩を進めている。

(文=小川裕夫/フリーランスライター)

RANKING
  • 企業・業界
  • ビジネス
  • 総合