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文=中曽根陽子/教育ジャーナリスト、マザークエスト代表

一斉休校の渦中、渋谷区立西原小学校がオンライン学習継続で驚異的成果を挙げている

文=中曽根陽子/教育ジャーナリスト、マザークエスト代表

 オンラインで居場所つくりを始めたNPO法人カタリバのカタリバオンラインには、3日間で200名の子どもたちの登録があり、スタッフは子どもだけで自宅で過ごす参加者の対応に追われているという。

子どもの好奇心に応え、興味を開発する学習ツール

 筆者もいくつかのオンラインサービスを体験してみた。

 その一つが以前この連載でも紹介した宝槻泰伸氏が代表を務める「探究学舎」が提供する無料オンライン授業だ。「好きなことを仕事にして人類を前進させよう」という熱いメッセージとともに始まったライブ授業。この日のテーマは偉人シリーズ第一弾、スティーブ・ジョブズ。初日は約5000人がライブで視聴をしていた。録画ビデオも公開されていて、すでに5万9000回以上視聴されている(3月6日現在)。

 もう一つがNPO法人 Asuka Academyが提供するサイエンス動画教材「MIT+K12ビデオ」

 MIT(米マサチューセッツ工科大学)が中高校生向けに提供するサイエンス動画教材が無償で視聴できる。内容は物理、化学、生物、電気などのほか、デザイン、ニュークリアサイエンス、Science Out Loud(先進科学詰め合わせ)の分野にまたがり、子どもたちの質問にMITの研究者が答える「MITに聞いてみよう」や、「楽しい科学実験」など、最先端の科学やテクノロジーがわかりやすく解説されている動画で、しかも同じ年齢層の外国の子どもたちが登場するので、子どもたちにとっては、2重の意味で刺激になるのではないだろうか。すべて日本語・英語字幕付きで、英語学習にもなる。

 どちらも、子どもたちの「知りたい!学びたい!」という好奇心に火をつける燃料のような役割を果たしている。こうしたサービスを上手に活用できれば、家に閉じこもって暇を持て余す子どもたちが、学びの楽しさに目覚めるきっかけにもなるのではないだろうか。

スマートスクール開講宣言をした公立小学校

 では、学校教育のなかでEdtechはどのように活かされているのだろうか。2017年9月から区内全小中学校の生徒にタブレット端末を貸与している渋谷区で、今回の休校措置を受けていち早く「スマートスクール開講宣言」をした、渋谷区立西原小学校の手代木英明校長に取材をした。

 当然のことながら現在休校中の西原小学校だが、毎日オンライン学習が続けられている。活用されているのは、先生と子どもたちをつなげる渋谷区学習ファイルサーバーとコラボノートという協働学習システムだ。

 子どもたちは、毎朝サーバー内にある「せんせいからもらう」というフォルダの中に配信される課題に取り組み、できたノートや作品、解答を記入したテストを写真に撮ったり、データを「せんせいにわたす」というフォルダに入れると担任に届くという仕組みだ。

 こうした個人学習とは別に、3年生以上はコラボノートという協働学習ツールも活用している。これは模造紙に付箋を貼り付けて協働作業をするイメージ。バーチャルの模造紙に自分の意見を書き込んだり、友達の進捗を見たりできるので、自宅にいても友達や先生と一緒に勉強している感覚が持てる。休校によって消化できなかった学習も、こうした仕組を活用することで進めることができるし、先生もタブレットを自宅に持ち帰って作業することができるので、余裕を持って対応ができるのもメリットだ。急に決まった休校措置が始まった初日、今後の対応に追われる先生は、子どもたちから届く終わった課題を撮影した写真や「元気ですよ!」というメッセージに、逆に元気をもらったという。

西原小学校だより

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