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文=中曽根陽子/教育ジャーナリスト、マザークエスト代表

一斉休校の渦中、渋谷区立西原小学校がオンライン学習継続で驚異的成果を挙げている

文=中曽根陽子/教育ジャーナリスト、マザークエスト代表

オンラインの環境で、隠れていた才能が引き出される

 コロナ対策で休校という非常事態にもスムーズに対応ができたのは、これまでの取り組みがあったからだろう。西原小学校は情報教育推進校にも指定されているが、手代木校長は6年前からプログラミング教育に取り組んできた。そこに区内の公立小中学校へ通う児童生徒に対し、一人一台のタブレット端末を貸与するという渋谷区の英断があり、2年半かけて学校教育のなかでICTの活用を進めてきたという経緯があるのだ。

 そんな経験を積み重ねてきた手代木校長は、「今回の休校措置で、スマートスクールを開講したメリットはとても大きい」と言う。それは、単純にICTの活用が学校運営や生徒の学習停滞を防いだという意味ではない。

「オンラインの環境ではみんなが平等で、みんなの前で発言するのが苦手な子が、ネット上なら積極的に発言ができたり、休みがちだった子が実力を発揮したり、従来の一斉授業では隠れていた生徒の才能が表れていて驚いている」(手代木校長)

 また、従来自分の教室の中で完結しがちな教員が、情報を共有しながら対応にあたっているので、ベテランと若手教員の格差も縮まり、それぞれが力を発揮し合うことができているのもメリットのようだ。

 今回の一斉休校措置については賛否両論だが、これをきっかけにEdtechによる新しい教育の可能性が、多くの人々に認知される機会になるのは確かなようだ。

 2020年度からの大学入試改革の先送りを受けて、文科省が主導する教育改革にブレーキが掛かった感が否めないが、今回のコロナウイルス対策による一斉休校で、多くの家庭や学校がEdtechサービスを活用することで、学校で学ぶ意味や目的を見直し、誰もが教育を受ける機会を妨げられない「未来の学校」をともに模索するいい機会になるのではないだろうか。

 災い転じて福となることを祈ってやまない。

(文=中曽根陽子/教育ジャーナリスト、マザークエスト代表)

●中曽根陽子/教育ジャーナリスト、マザークエスト代表  

教育機関の取材やインタビュー経験が豊富で、紙媒体からWEB連載まで幅広く執筆。子育て中の女性に寄り添う視点に定評があり、テレビやラジオなどでもコメントを求められることも多い。海外の教育視察も行い、偏差値主義の教育からクリエイティブな力を育てる探求型の学びへのシフトを提唱し、講演活動も精力的に行っている。また、人材育成のプロジェクトである子育てをハッピーにしたいと、母親のための発見と成長の場「マザークエスト」を立ち上げて活動中。『一歩先いく中学受験 成功したいなら「失敗力」を育てなさい』(晶文社)、『後悔しない中学受験』(晶文社出版)、『子どもがバケる学校を探せ! 中学校選びの新基準』(ダイヤモンド社)など著書多数。ビジネスジャーナルで「中曽根陽子の教育最前線」を連載中。

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