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ココカラファインとマツキヨ、経営統合協議において崩れる「対等」…

文=編集部
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マツモトキヨシの店舗(「Wikipedia」より/Kirakirameister)

 ドラッグストア業界5位のマツモトキヨシホールディングス(HD)と同7位のココカラファインは2021年10月に経営統合する。両社は2019年8月16日に経営統合に向けた協議を開始。今年1月31日、経営統合に関する基本合意書及び経営統合に向けた資本業務提携契約を締結した。

 マツキヨHDの2020年3月期の売上高は6000億円、営業利益370億円の見込み。店舗数1720店(海外店舗も含む、19年9月末現在)。ココカラの同期の売上高は4090億円、営業利益135億円の見込み。店舗数は1333店(同)。経営統合により、売上高1兆90億円、営業利益505億円、店舗数3053店という、巨大なドラッグストアが誕生し、業界首位に躍り出る。

統合までの道筋

 共同持ち株会社を新設し、株式移転で両社がぶら下がる方式。新会社のトップにはマツキヨHD創業家出身の松本清雄社長が就く。統合に先立ち両社は資本業務提携した。マツキヨHDは3月31日~4月30日にココカラの第三者割当増資を引き受ける。新株式は普通株式593万9600株で、第三者割当増資後、マツキヨHDはココカラの18.91%の株式を保有することになる。すでに持っている分と合わせ計20.04%(議決権ベース)となる。出資額は383億円。これによりココカラはマツキヨHDの持ち分法適用会社となる。

 両社は21年2月に最終契約を交わし、同年6月に開く定時株主総会でそれぞれ、合併の承認を得る段取り。株式移転比率や新会社名、ココカラの塚本厚志社長の処遇は今後協議する。マツキヨHDは「マツモトキヨシ」と「どらっぐぱぱす」、ココカラは「ココカラファイン」「くすりセイジョー」などの店舗を展開している。統合後は、一定期間これらのブランドを維持するが、近い将来、新しいブランドを導入する。

ココカラ株は第三者割当増資の発表を受け急落

「結局は、マツキヨHDが呑み込むことになるだろう」――。

 19年8月、「対等の精神にのっとり経営統合の協議・検討を進める」として、協議入りした両社について、ドラッグストア業界の関係者はこんな冷ややかな見方をしていた。今回、統合が「対等」でないことが正式に、明らかになった。マツキヨHDの松本社長が新会社の社長に就く。マツキヨHDがココカラの第三者割当増資を引き受けて筆頭株主になり、持ち分法適用会社に組み入れる。

 マツキヨHDの軍門に下ることになるが、ココカラ側のしたたかな計算も垣間見える。ドラッグストア各社の業績は、プライベートブランド(PB)商品と病院の処方箋を受け付ける調剤部門という利幅の大きい2つの事業が牽引している。マツキヨHDの2019年度上半期(19年4~9月)の純利益は12%増の129億円だった。化粧品・日用品の「アルジェラン」シリーズなどPB商品が伸びた。ココカラの純利益も27%増の50億円と増益だった。

 それでも、収益力には、かなりの差がある。マツキヨHDの売上高営業利益率が6.1%なのに対して、ココカラは3.3%と見劣りする。ココカラは利益率の高いPB商品の供給を受け、収益力を向上させる。ココカラは第三者割当増資で調達する383億円の大半をM&A(合併・買収)や新規出店・閉店の費用に充て、調剤事業の拡充に振り向ける。これまでは事業規模の小さい調剤薬局しか買収できなかったが、マツキヨHDから得た資金を、大規模な調剤薬局の買収に使う。

 調剤部門はココカラがマツキヨHDを上回っている分野だ。同部門のココカラの19年3月期の売上高は587億円でマツキヨHDの457億円を130億円上回る。ココカラの19年度上半期の調剤部門の売上高は311億円。前年同期比11%増で、2ケタの伸びとなったのは調剤部門だけだった。

 大型調剤薬局の買収で、統合後の新会社のなかで存在感を発揮することをココカラは狙っている。だが、株式市場の反応は冷ややかだった。マツキヨHDとの経営統合を好感して、ココカラの株価は1月20日に6880円の昨年来高値をつけたが、2月5日には5550円へと急落した。1月31日の取引終了後に、第三者割当増資で383億円を調達すると発表したからである。1株あたり利益の希薄化を嫌気した投資家による売りが膨らんだ。2月末の日経平均株価の急落もあって、2月28日には一時、4755円まで下げた。

 経営統合の主導権は、あくまでマツキヨHDにある。未定とされた株式移転比率もマツキヨ優位で進むとの読みから、ひとまずココカラ株式を売っておこうと判断した投資家が多かったことが株価の下落につながった。

ウエルシアHDとツルハHDの経営統合はあるのか

 現在、業界トップのウエルシアHDはイオンが発行済み株式の50.55%(19年8月末時点)を保有する連結子会社。2020年2月期の売上高は8500億円、営業利益は330億円の見込み。店舗数は1976店だ。

 業界2位のツルハHDはイオンが発行済み株式の13.06%(19年5月末時点)を保有する筆頭株主。2020年5月期の売上高は8200億円、営業利益437億円を予想している。店舗数は業界最多の2137店である。

 両社が統合すれば、売上高1兆6700億円、営業利益767億円、店舗数4113店。マツキヨHD=ココカラ連合に圧倒的な差をつけることができる。

 コンビニエンスストアが大手3社に集約されたように、ドラッグストア業界は大再編の真っただなかにある。

(文=編集部)

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