ただ、意見する幹部を遠ざけて、周囲は子飼いの茶坊主だけで固め、大手広告宣伝会社も使って社外に「章男さんはスゴイ」と強要するやり方に反感を持っていた社員は少なくない。章男氏は2009年にトヨタの社長に就任、在任10年を超えているだけにトップ交代の期待は高まっていた。しかし、今回の役員体制の変更で、章男氏はさらに権力を集中させて、その地位に踏みとどまると同時に、実力も未知数なのに「豊田家」出身というだけで息子を後継者にする道を拓いているように映る。

 トヨタは上場会社で、豊田家全体でも出資比率は1%程度。オーナー企業ではないトヨタが世襲制を続けることには「会社の私物化」として批判する声も強い。数多くの不平・不満を抱えた巨大自動車メーカーの先行きを懸念する声は確実に強まっている。

(文=河村靖史/ジャーナリスト)

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