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【新型コロナ】安倍政権、国立感染研の人員を削減し続けていた…感染症対策の軽視が裏目に

文=明石昇二郎/ルポライター
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筆者にも迫っていた感染の危機

 とはいえ、中国発の新型コロナウイルス感染症「COVID-19」(コビッド・ナインティーン)が世界中に蔓延し始めているのは、紛れもない事実である。頑なに「パンデミック」(世界規模の感染症大流行)と呼ぶのを拒んできたWHOも3月9日、「パンデミックの脅威が非常に現実味を帯びてきた」(テドロス・アダノム事務局長)と、ついに大流行を認めざるを得ない状況へと追い込まれている。その2日後の3月11日には、テドロス事務局長が「パンデミックとみなせる」と表明。患者の封じ込め策は世界各国で軒並み失敗し、新型コロナウイルスは流行の勢いを増し続け、世界同時株安を招くなど、今やその影響は世界経済の浮沈にまで及んでいる。

 こうなると、新型コロナウイルス騒動と無縁で過ごすことは、どんな聖人君子であろうと、不可能だ。

 象徴的なのは、米トランプ大統領やペンス副大統領も出席していた2月末の集会で、参加者の一人が新型コロナウイルスに感染していたことが今月に入って判明し、騒ぎになっていることだろう。米国大統領でさえ、感染の恐れがあったのだ。どうやら2月中には世界各地でほぼ同時に市中感染が始まっていたようである。ただ、私たちが気づかなかっただけで。

 かく言う筆者自身にしても、同じその2月に、感染の機会(=感染者)が目前にまで迫っていた。もちろん、その事実がわかったのは後日のことである。高齢の実母が体調を崩して入院し、2カ月近くに及んだ治療を終え、自宅に帰る前にリハビリを兼ねて母が世話になる予定だった老健施設(介護老人保健施設)で、送迎ドライバーが新型コロナウイルスに感染していたことが判明したのだ。

 どこの老健施設でも、入所する前には家族面談が設定される。その面談の日、問題の送迎ドライバー氏が症状を訴えつつ、勤務していたというのだ。そんなことなどわかるはずもなく、筆者は妻とともに面談に出向いていた。そして面談日から10日後、当の老健施設から電話があり、「ウチの送迎ドライバーが新型コロナウイルスに感染したことが判明し、今日から1週間、施設が閉鎖されることになりました。申し訳ありません」というのだった。その担当者は、完全に冷静さを失っていた。

 都内の老健施設に勤める職員が新型コロナウイルスに感染したとの話は、報道を通じて知ってはいたが、まさかそれが、実母がこれから入所する予定の老健施設だったとは、夢にも思わなかった。報道では、施設名も市区町村名も伏せられていたからだ。

 母が入所する前に発覚したから、まだよかったのかもしれない――とは思ったものの、問題は、施設閉鎖のため、母が退院できなくなってしまったことだった。前代未聞の事態に、老健施設の担当者ばかりか、母が入院していた病院の担当者もケアマネージャーもソーシャルワーカーも、揃って筆者に謝るばかりで、ちっとも埒が明かない。

 そこで筆者は、自ら指示を飛ばすことにした。感染した送迎ドライバー氏が勤務していたのは、母が入所を予定していた老健施設だけだったことを確認した上で、まずは老健施設のソーシャルワーカー氏に対し、同じ医療法人が経営する別の老健施設を手配するよう指示。入院していた病院にも、予定どおり退院させることを伝え、事なきを得たのだった。

 残る問題は、筆者や妻が感染していないか、である。唯一の救いは、花粉症予防のため、マスクをして家族面談に臨んでいたことだった。

 老健施設に確認したところ、同施設内では他の職員などに感染は広がっておらず、筆者の面談相手だった職員たちも無事であるとのこと。面談日からすでに1カ月が経ち、筆者も妻も体調を崩すこともないので、どうやら感染は免れたようだ。

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