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ホンダ、軽蔑するトヨタの“猿真似経営”で普通のメーカー化…聖域・技術研究所にメス

文=河村靖史/ジャーナリスト
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崩れる社内のパワーバランス

 しかし、ホンダは4月1日付けで、技術研究所にあるデザインなど、一部を除く四輪商品開発機能を、ホンダ本体に移管することを決めた。これによってホンダ本体にある営業、生産、購買の各部門と開発とを一体運営する。エンジニアは、新型車開発で生産や購買、営業と開発当初からすり合せするなどして生産しやすく、営業部門が売りやすいクルマの開発に比重が置かれることになる。独創的な技術力を武器に、一からのし上がってきたホンダが普通の自動車メーカーになるということを意味する。

 量産車開発を移管された後の技術研究所は、自動運転や電動技術など、先進領域の研究開発に特化する会社となり、ホンダ社内のパワーバランスも崩れることになりそうだ。というのもホンダは技術主導の自動車メーカーだけあって、技術系の発言力が強い。それは現在でもホンダの正式社名が「本田技研工業」と、「技研」が入っていることでもわかる。

 ホンダの歴代社長は全員が技術系で、とくに技術研究所の社長は、ホンダの社長になるための登竜門でもある。現在のホンダ社長である八郷隆弘氏を除いて、ホンダの社長は全員が技術研究所の社長経験者だ。逆にいえば技術畑ながら本流ではない八郷氏がホンダの社長となったからこそ、今回の開発体制の改革が断行されたといえる。ホンダの事業の柱である四輪車の開発機能がホンダ本体に移ることによって、技術系の発言力が社内で低下するのは避けられない見通しだ。

 ホンダは開発の独創性を捨てるだけではない。万人受けするクルマを量産し続けることから、ホンダの社員が「もっとも軽蔑する」と言われているトヨタに似通った施策を相次いで打ち出している。

 ホンダは4月1日付けで役員体制を変更し、現在の執行役員と管理職層の最上位級を「執行職」に集約すると発表した。トヨタが2019年1月に階層を減らすため、専務役員以上を「役員」、常務役員、常務理事。基幹職1級・2級、技範級を「幹部職」に集約したのとほぼ同じ内容だ。

 それだけではない。トヨタは「自動車メーカーからモビリティカンパニーになる」と宣言、2018年10月にソフトバンクとモビリティサービスを構築する合弁会社「MONET(モネ)テクノロジーズ」を設立したほか、2019年10月には国内の系列ディーラー、レンタカー店でカーシェアリングサービスの提供を開始するなど、モビリティサービスに本格的に進出している。

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