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江川紹子の「事件ウオッチ」第148回

トイレットペーパー不足騒動から思う、「ローリングストック法」のすすめ…江川紹子の提言

文=江川紹子/ジャーナリスト
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 昨年10月の消費税増税前には、前回の増税ほどの駆け込み需要はないと気を許していたら、やはり直前になってティッシュやトイレットペーパー、洗剤などを買いだめする人が相次いで、店頭から商品が消えてしまったのは記憶に新しい。

 そのうえ昨年秋は、大型台風が相次いだ。天気予報を聞いて、事前に水、パン、カップ麺、乾電池や養生テープなどを買い求める人が多く、スーパー、コンビニ、電機量販店などの店の棚は空になった。

 毎年のように台風や集中豪雨などの自然災害が起こり、南海トラフ地震なども心配されていることを考えると、私たち1人ひとりも、異常事態が起き、物資不足になってから慌てるより、日頃の備えが必要ではないか。

 政府や自治体は、災害時に備え、食品などを日ごろから少し多めに買い、食べたり使ったりしたら買い足すようにして、常に家庭に備蓄しておく「ローリングストック法」を勧めているが、あまり浸透していない。

 株式会社明治が昨年行った「乳幼児ママ・プレママの備蓄・防災に関するアンケート調査2019」によると、災害に備えて粉ミルクや液体ミルクの備蓄をしている人は約2割にとどまった。

 日本気象協会が一昨年、20~40代の女性を対象に「家庭の備蓄状況」をインターネットでアンケート調査したところ、同じような結果が出ている。家族の人数分×3日分を備蓄できているかどうかを尋ねたところ、「十分できている」「それなりにできている」を合わせて20.8%、79.2%が「あまりできていない」と「全くできていない」と答えた。

 今回の騒動を機に、水や食品だけでなく、トイレットペーパーやティッシュなどの日用品、乾電池など災害時に必要になりそうなものを書き出して、しばらく店頭から消えても焦りを感じない程度の量は備蓄しておいたほうがいいのではないか。

 日本気象協会の「トクする! 防災」ホームページでは、「備蓄の心得」として、水や食品のほか、カセットコンロやビニール袋、ウエットティッシュ、常備薬なども家庭で備蓄しておくことを勧めている。

 このほか、介護が必要な高齢者がいる、ペットがいるなど、家庭によって備蓄が必要なモノは違うだろう。今の時期なら、乾電池などのように台風シーズンに不足がちとなる商品は、店頭にたっぷり並んでいる。いずれ使うものなので、少し多めに買うローリングストックをしておいたらどうか。

 現在は不足しているマスクや消毒液なども、今回の新型コロナ感染が収まれば、徐々に出回るだろう。来年も冬になれば、インフルエンザを含めた感染症のリスクはあるだろうから、その時に備えて、商品がたっぷりある時期に、少し買い置きしておくことにしたい。

 確かに場所をふさぐが、備蓄があれば心の余裕が生まれる。それによって多くの人が非常時にも理性を失わない行動をとるようになれば、パニックによる物不足も防げる。過去、そして今の状況から学びたいものだ。

(文=江川紹子/ジャーナリスト)

●江川紹子(えがわ・しょうこ)
東京都出身。神奈川新聞社会部記者を経て、フリーランスに。著書に『魂の虜囚 オウム事件はなぜ起きたか』『人を助ける仕事』『勇気ってなんだろう』ほか。『「歴史認識」とは何か – 対立の構図を超えて』(著者・大沼保昭)では聞き手を務めている。クラシック音楽への造詣も深い。

江川紹子ジャーナル www.egawashoko.com、twitter:amneris84、Facebook:shokoeg

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