3月21日に最終回を迎えた漫画『100日後に死ぬワニ』が、インターネット上で爆発的な話題となった。

『100日後に死ぬワニ』は、漫画家きくちゆうき氏が2019年12月12日から自身のTwitterアカウントで1日にひとつ公開してきた4コマ漫画だ。主人公のワニが何気ない日常を送る様子を描いているだけだが、その枠外に「死まであと○日」と記されていることで、読者にワニの死を意識させる構成となっている。

 連載開始から100日目の3月20日、それまでとは違う少し長めの最終回が公開されると、『100日後に死ぬワニ』はTwitter上のトレンドで世界1位となるなど、高い関心を集めた。話題となった理由は、ニコニコ生放送で『「100日後に死ぬワニ」の最後をみんなで見守る放送』という配信が行われたほか、さまざまなメディアで紹介されたこともある。

 だが、その高い注目度が災いを招いた。最終回が公開された3月20日に、いきものがかりと同作のコラボムービーがYouTube上に公開されたが、その企画に電通のCMプランナーや電通関連会社の社員がかかわっていたことが指摘され、「ステマだったのではないか」と批判の声が高まったのだ。

 その後、ネット上では瞬く間に「電通案件」というワードが駆け巡り、いきものがかりの発表した先のコラボムービーにも「低評価」が殺到した。人気アーティストのオフィシャル作品で、「低評価」ボタンが多く押されることは珍しい。だが、このムービーには1万2000件(23日14時時点)を超える「低評価」が押されている。

 批判を受けて、いきものがかりのリーダー水野良樹は21日、Twitter上で対談動画を配信し、「今回のコラボをはじめ、映画化や書籍化に電通はかかわっておらず、もっとも巨大プロジェクトで動いていたわけではない」と疑惑を否定。きくち氏も「個人的に漫画を始めたことであり、(プロデュース会社の)ベイシカが作品のメディア展開を始めたのは(連載から約1カ月が経過した)今年1月以降であるにもかかわらず、『電通案件』で裏が大きいとか言われるのは、やっぱり悲しい」と語った。

 早々に水野ときくち氏が疑惑を否定したことで、炎上の速度は弱まった。だが、物語上で主人公が死去し、本来は読者が余韻に浸るような時間が与えられることもなくコラボムービーが公開され、翌日にはタワーレコードとのコラボグッズが発売されたほか、4月8日には小学館から同タイトルの書籍が発売されることが発表されるなど、矢継ぎ早に事業展開を進められている様子を知って、げんなりとするファンが多かった。

『100日後に死ぬワニ』は最終的に200万人のフォロワーを抱えるほどに注目を浴びていた。その集客力に企業が目をつけたわけだが、拙速な急展開によって批判を呼ぶかたちとなってしまった。

“電通案件”であることを否定して批判の声は終息するかに見えたが、一部のTwitterユーザーが『100日後に死ぬワニ』のグッズが「メイドインチャイナ」であると指摘したことから、再び炎上の兆しを見せている。新型コロナウイルスの影響で、中国からの物資は輸入が困難な状況下にある今、大量のメイドインチャイナグッズを販売できるのは、物流が停滞する以前から用意していたためだろう、とみられているからだ。

 この指摘に対して、きくち氏やベイシカ、そして電通はどのような釈明をするのだろうか。

(文=編集部)

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