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住宅ジャーナリスト・山本久美子「今知りたい、住まいの話」

定年後の「定活」は50歳から始める!カギは住まい、5つの選択肢のポイント&注意点

文=山本久美子/住宅ジャーナリスト
「gettyimages」より

 大きな転機をしっかり乗り切るためには、そのための準備が必要だ。近年は「就活」に加え、「婚活」「妊活」「終活」などが注目されるようになってきた。「人生100年時代」に向かう中、重要度を増しているのが「定活」だろう。

「定活」というと、仕事のことや年金のことなどマネープランを考える人が多いが、人生の後半戦のライフプランを考えるのだから、「住まい」をどうするかが実は重要な課題になる。「住まいの定活」は定年間際では遅すぎるので、50歳にはぜひ活動を始めてほしい。

「住まいの定活」のススメ

 ある人は、自然豊かな場所で暮らしたいと、田舎暮らしを始めた。ある人は、ボランティアに励みたいと、どこにでも移動しやすいターミナル駅に住み替えた。ある人は、夫婦二人きりの生活を楽しもうと、地縁を切って都心のコンパクトマンションに住み替えた。

 実は、これまで以上に選択肢が増える住まい選びこそ、定活のカギを握る。これまでは通勤場所からの距離に制約があったり、子どもの教育の場と関連があったりして、立地にせよ広さにせよ住まい選びの選択肢にはある程度の制約があった。ところが、定年後はこうした縛りが減るので、自由度が広がる。

 したがって「住まいの定活」は、これまで通りの暮らしの延長上ではなく、新しい発想で人生の後半戦の暮らしを考えるチャンスとなる。

 はいえ、人生100年と考えると、現実的には、まだ先の長いライフプランを支えるマネープランと合わせて考える必要がある。だからこそ、早くから定活をスタートさせてしっかりと準備をするべきだろう。

アクティブ期とケア期で分けて住まいを考える

 まずは、人生の折り返し地点で、今後の人生を再設計することが大切だ。そのときに、お金は足りるのかなど、不安から入ると身動きしづらくなるので、「どこで」「誰と」「どのように」暮らしたいかを考えてほしい。

 以前、60代の女性から住まい選びについて聞かれたことがある。ご主人と死に別れ、子どもも育ったので、住み替えるなら介護の整った有料老人ホームなどを探すのが良いかと。

 筆者は「まだ元気なのだから、人生を楽しめる住まいを考えたほうがよい」と伝えた。60代にはまったく見えないほど若々しい方だったので、仲間を作って趣味に興じる暮らしもできるだろうし、再婚することもあるかもしれないし、当面は介護に備えるより今を楽しむ暮らしをしたほうが良いと思ったからだ。

 健康上で問題がない限りは、定年直後の「アクティブ期」と介護を見据えた「ケア期」では、住まいの考え方を分けて考えたほうがその後の人生が充実するはずだ。

 たしかに介護を見据えると、思い浮かぶのが手厚い介護サービスを受けられる施設だろう。それはそろそろ介護が必要になる、75歳以降などの「ケア期」に向けて考えること。元気なうちは、当面の10年、15年を快適に暮らせる拠点を選んでほしい。

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