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湯之上隆「電機・半導体業界こぼれ話」

マスク不足の謎を徹底検証…過去10年で供給量15倍?「顔のパンツ」利用を禁止すべき

文=湯之上隆/微細加工研究所所長
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なぜ家庭用マスク枚数が急増するのか?

 図4に、2009~2018年における家庭用マスクの供給量と備蓄量の推移を示す。2009年に新型インフルエンザが流行して、一時的にマスク枚数が急増したことは前節で述べた。それ以降の家庭用マスクは、2010年が3億枚、2011年が5.4億枚となっている。ところが、2012年以降、マスク枚数が飛躍的に増大していき、2018年には42.8億枚が供給された。2015年以降は毎年約2億枚ずつ増えていることから、2019年は約44億枚、2020年には約46億枚になっていると推測される。

 一体なぜ、これほどマスク供給量が増えるのだろうか?

 真っ先に頭に浮かぶのは、花粉症対策のためにマスクが必要になっているのかもしれないということである。そこで、東京都のスギとヒノキ合計の花粉飛散数の推移を調べてみた(図5)。東京都では、過去10年平均で、スギとヒノキの合計の花粉が1シーズン当り5532個/平方cm飛ぶことがわかっている。

 この平均値を大きく超えているのは、2011年(1万5112個)、2013年(9851個)、2018年(1万3260個)の3回である。この花粉の飛散数の傾向と、マスク枚数が2012年から急増していることの間には相関関係がない。要するに、マスク数が増大していることは、花粉の飛散数からは説明できない。

 では、日本人は一体、なぜこんなに大量のマスクを消費するのか?

「だてマスク」のせい?

 本来マスクは、たとえばコロナに感染した人が他人にうつさないようにするため、あるいは他人からコロナをうつされないようにするために着用する(ただし、通常のマスクでは0.1μmのコロナウイルスを完全には防御できない)。

 しかし、知人らに聞いてみると、近年は「だてマスク」として着用する人が圧倒的に多いという。そんなものかと思ってネットニュースを調べてみると、確かにそのような記事が多数見つかる。その記事の一つを、五百田達成著『「だてマスク」が流行する理由。「顔のパンツ」でプライバシーを守る。』(Yahoo! ニュース個人、2015年1月24日付)から引用する。

「ところが最近はその用途・目的がさらに多様化。女性の間では『マスクをするだけで保湿効果があって肌がうるおう』『すっぴんを隠せる』『紫外線対策』など本来の目的プラスアルファの効果も狙っている様子。美容アイテムとしても注目が集まっています」

「このような『風邪も引いてないのにマスクをつける』というのは、『目が悪くないのにメガネをかける』のと同じ。いわば『だてマスク』とも呼ぶべき習慣です」

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