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木下隆之「クルマ激辛定食」

マツダ、グローバル戦略の裏側…車名変更だけじゃない!基本性能も世界的レベルに到達

文=木下隆之/レーシングドライバー
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「マツダ2」

マツダ2」――。この名を耳にして、にわかにキャラクターが想像できる人は、相当のクルマ好きなのだろうと察する。そしてさらに、これが「デミオ」の新しい名であることがわかるのであれば、よほどの事情通か、なんらかのかたちで自動車業界に携わっているのではないかと想像する。

 確かに、マツダ2はデミオである。マイナーチェンジを機に、モデル名を数字に変えた。その理由は、グローバルでの車名統一であり、マツダブランド構築である。デミオがマツダ2になった。「アクセラ」が「マツダ3」になり、「アテンザ」が「マツダ6」になった。すでに海外ではそれらの名で展開している。本家の日本が、それに追いつくように車名統一に進んだのである。これでマツダの、SUV(スポーツ用多目的車)以外のペットネームは消えることになる。

 ただし、例外がある。「MX-5 Miata(ミアータ)」の名で愛されていたロードスターは、あまりにも日本ではその名が浸透しすぎていることもあり、今回のグローバル化は見送られた。これからもロードスターは、日本市場でのみその名で呼ばれることになる。

 なぜマツダは、グローバル名の統一を急ぐのか。その理由のひとつが、ブランドの構築である。デミオ、アクセラ、アテンザと、それぞれの車名を訴求するよりも、すべてがマツダのクルマであることを認知させることが有効だと考えたわけだ。

 独BMWは、ほとんどのモデルを数字とアルファベットで表す。記号性を与えることでブランド統一に直結する。メルセデスしかり、アウディも同様だ。レクサスも「IS」「ES」「LS」と、セダン系を「S」の記号で統一して成功した。これらのように、マツダもブランド巧者の戦略を取り入れたのである。

 それはデザインテイストの統一とリンクする。フロントマスクも同樣に、マツダの顔になった。レクサスがスピンドルグリルをアイキャッチにしたように、BMWが伝統的なキドニーグリルを踏襲するように、である。

 さて、そんなブランド戦略に組み込まれたマツダ2は、コスト制限の強いコンパクトモデルとしては異例な、先進的技術を投入している。

 エンジンは内燃機関をギリギリまで追い込んだスカイアクティブGを搭載。低燃費を実現しているばかりか、ドライバビリティに優れている。今回はディーゼルではなくガソリンエンジンをドライブしたものの、力強さはBセグメントと呼ばれるこのジャンルでは際だっている。

 特に印象的なのは、操縦フィールである。軽量コンパクトでありながらも、重厚感が備わっている。Gトルクベクタリングコントロールと命名された駆動システムも秀逸で、安定感と軽快なハンドリングをもたらしてくれるのだ。

 ステアリングの切り込み等のセンターに反応し、エンジン出力を抑える。それにより旋回性が際立つ。微小な舵角でコーナリングが開始するのは、それが機能しているからだ。ハンドルを戻す時には、外輪にブレーキを加えることもする。これによってスムーズに直進に戻ることになる。とはいえ、それがこれ見よがしの挙動変化ではなく、よほど気を張っていないと気づかない領域で制御する、その奥ゆかしさが良い。マツダ2は品が良いのである。

 外観の変更やネーミングのグローバル化だけでなく、クルマとしての基本性能も世界的なレベルに達していた。
(文=木下隆之/レーシングドライバー)

●木下隆之
プロレーシングドライバー、レーシングチームプリンシパル、クリエイティブディレクター、文筆業、自動車評論家、日本カーオブザイヤー選考委員、日本ボートオブザイヤー選考委員、日本自動車ジャーナリスト協会会員 「木下隆之のクルマ三昧」「木下隆之の試乗スケッチ」(いずれも産経新聞社)、「木下隆之のクルマ・スキ・トモニ」(TOYOTA GAZOO RACING)、「木下隆之のR’s百景」「木下隆之のハビタブルゾーン」(いずれも交通タイムス社)、「木下隆之の人生いつでもREDZONE」(ネコ・パブリッシング)など連載を多数抱える。

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