消費者が企業活動に抱く疑問を考察するサイト ビジネスジャーナル ⁄ Business Journal
新型コロナウイルスの治療薬もワクチンも開発されていない現在、感染拡大を食い止めるには、人と物の動きを制限するしかない。だから、レストラン閉鎖や外出禁止などの措置を取っている国もあるほどだ。東京オリンピック・パラリンピックについても、IOC(国際オリンピック委員会)委員が「延期は決定された」と述べたとアメリカの全国紙「USAトゥデー」で報じられた。
この流れの中で経済活動が収縮するのは、ある意味では仕方がない。何よりも大切なのは命だからだ。しかし、こうした経済的停滞が続くと、休業や失業で収入が激減する人が増えるだろう。また、中小企業を中心に倒産が続出し、失業者が街にあふれる可能性も十分考えられる。
そうなれば、不況( Depression )どころではなく、大恐慌( Great Depression )とも呼べる状況になるのではないか。結果的に、うつになる人も自殺者も急増するのではないかと懸念する。
そういう事態を防ぐためにも、政府は経済対策をしっかりとやるべきだ。年間自殺者数が3万人を超えて以来、われわれ精神科医は自殺予防のための啓発活動に携わってきた。もちろん、われわれの努力だけが功を奏したわけではなく、失業率が改善したことが大きく貢献したのだとは思う。いずれにせよ、せっかく自殺者が減少したのに、また急増するような事態は何としても防がなければならない。
(文=片田珠美/精神科医)
参考文献
公益社団法人日本医師会 (編集)西島英利 (監修)『自殺予防マニュアル【第3版】地域医療を担う医師へのうつ状態・うつ病の早期発見と早期治療のために』明石書店 2014年
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