例えば、東京都オリンピック・パラリンピック準備局の「東京都聖火リレー実行委員会」が発注し、電通が落札した「東京2020大会聖火リレーの実施運営計画策定及び聖火リレーランナー募集業務委託」3億3981万7225円と「東京2020オリンピック聖火リレーテストイベント実施運営業務委託」7447万8327円の2つの事業だ。聖火リレーはもはや事業として、ぐずぐずの状況になりつつある。

 聖火リレーに関し、競合社の博報堂や東急エージェンシーなどはいずれも入札を「辞退」した。事実上、電通の独壇場だったわけだが、損害も電通が一挙に引き受けることになる。電通と東京オリンピックの関係に詳しい作家の本間龍氏は次のように現状を説明する。

本間氏の解説

「1年延期で最も被害を受けるのは、電通やスポンサーから発注を受けていたイベント会社とその下請けのサプライヤーでしょうね。東京五輪の仕事を受注するということは、今年の夏までの期間、五輪関連業務に拘束されることを意味します。人員の手配から各種グッズの生産ラインの確保まで押さえられていたわけです。日本全国のイベント関連の企業が総出でやることになっていた事業がすべて吹っ飛びました。電通などが、代わりの仕事を工面してくれるわけでもありません。非常に厳しい局面だと思います。

 電通本体も当然、無傷ではありません。例えば全国各地で開催される予定だった聖火リレー関連イベントは電通による仕切りでした。この事業は約50億円といわれています。少なくともこの分が、電通の総合的な売り上げからなくなります。当然、各地方のイベント会社もその損害をもろに被ります。

 また民放テレビ局で予定していた五輪特番とスポットCMも深刻な打撃を受けるでしょう。本来であれば今年の1月から大会当日まで各局の特番で盛り上げていく計画だったのが、すべて白紙です。電通としては特番と絡めて枠を取っていた広告をすべて他のCMに差し替える必要が出てきます。五輪関連のスポットも同様です。まったく同じ規模、予算のCMをこれから補填するのには相当な労力がかかります。少なく見積もっても、数百億円は回収できなくなるのではないでしょうか。

 また、メディアセンターとして借用するはずだった東京ビッグサイトはどうするのでしょう。10月には返還する予定でしたが、また年明けに借用するのでしょうか。ビッグサイトにも来年以降、予定があり、その確保に関しても相当なコストが見込まれます。

 そして、何より難航が予想されるのが、スポンサー契約をどのように更新するのかという点です。契約は今年の12月31日までです。スポンサー企業としては、『延期になったのだから、これ以上、払わなくてもいいだろう』と主張してくるでしょう。しかし、当然のことながら契約更新料をゼロ円にするというわけにはいきません。最上位スポンサーのワールドワイドパートナーの企業はまだしも、イベントの仕切りなどを担当していた国内の中規模企業のスポンサーに新たに契約金を支払う体力があるでしょうか。今後、スポンサー企業の脱落も考えられると思います」

(文=編集部、協力=本間龍/作家)

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