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木村誠「20年代、大学新時代」

一橋大学も新設を構想する「データサイエンス学部」とは?意外な“落とし穴”も

文=木村誠/教育ジャーナリスト
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一橋大学の兼松講堂(「Wikipedia」より)

 文系のトップである一橋大学の蓼沼宏一学長が、データサイエンスに関する新学部の創設に積極的である。「社会科学領域でも、近年、AIやビッグデータ等を活用したエビデンスに基づく政策立案や社会システムのデザイン、企業経営の革新などの重要性が飛躍的に高まっていることから、ソーシャル・データサイエンス分野を早急に強化・拡充し、学部を新設すること構想しています」と明言している。

 同大は法・経済・商・社会学部を擁し、社会科学分野では長い伝統に培われた情報データが蓄積されている。それをデータサイエンスによって広く活用し、研究・教育の国際競争力の強化に結び付けたい、という狙いだ。

 どちらかといえば、データ処理は情報科学系で数理処理が主体の理工系というイメージが強かった。しかし、日々蓄積されていくデータには人間社会にかかわる情報も多く、それを有用な目的で分析・判断するサイエンスが脚光を浴び始めたといえる。

 3月上旬に開かれる予定だった、日経クロステック主催のデータサイエンティストに関するセミナーは新型コロナウイルスの影響で延期になったが、各企業のデータサイエンスの専門家が講演するプランで、ビジネスにおけるデータサイエンスの最前線を知る良い機会となったはずだ。

 基調講演のテーマは「“文系”データ分析人財育成のススメ ~理系・文系の二本柱で会社を変える」というものだ。文系のデータサイエンスの専門家こそ養成すべき、という問題意識であろう。予定されていた講演者は、保険設計のデータサイエンスの活用に先進的な損害保険業界の専門家だった。一橋大のデータサイエンス新学部への期待も、これから急速に高まることは間違いない。

大学によって微妙に違うデータサイエンスの定義

 現在、国立・公立・私立に1大学ずつ、データサイエンス学部がある。それぞれがデータサイエンスとは何かを自己定義しているので、そのまま紹介しよう。()内は既存の学部である。

 まず、国立の滋賀大学(経済・教育)のデータサイエンス学部では、「社会に溢れているデータから《価値》を引き出す学問です。ICT(情報通信技術)の進化した現代では、あらゆるビジネスや医療、教育、行政などにおいても、高度なデータ処理能力、データ分析力が必要となっています。データから有益な《価値》を引き出すためには、これらの能力に加え、様々な分析経験を積むことが求められています」という。「分析経験」という言葉がキーワードになりそうだ。

 次に、公立の横浜市立大学(医・国際教養・国際商・理)のデータサイエンス学部は事例を挙げており、より具体的だ。

「LIFE ネットショップで、欲しいものを予測――ネットショップの検索履歴から、ユーザーの消費動向を予測。『あなたにオススメの商品』を提案。SPORTS 試合に勝つ戦術をつくりだす――例えばサッカーでは試合開始から終了まで選手全員の動きと、ボールの軌跡を記録。選手の走行距離や累計時間などのデータを分析し、試合の戦術を作り出す。BUSINESS 混雑予測でレジ待ちをなくす――赤外線センサーを使い、来店者の行動から混雑するレジを予測。待ち時間がなくなるよう、レジ係の配置を操作する。HEALTH 一人ひとりに最適な治療法を割り出す――電子カルテの記録や画像診断データ等、蓄積する膨大な医療データを解析し、病気リスクの発見や難病治療に役立てる」

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