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垣田達哉「もうダマされない」

コロナ危機煽り買い占め助長する安倍首相と小池知事…緊急事態宣言なら戦時下と同じ状況に

文=垣田達哉/消費者問題研究所代表
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撮影=編集部

 26日、新型コロナウイルスの感染拡大を受け、安倍晋三首相は「政府対策本部」の設置を指示した。首相による緊急事態宣言が可能になる手続きの一つだが、東京都の一日当たりの感染者数は25日に41人、26日に47人と急増している。

 安倍首相は2月28日に全国の小中高校を一斉休校するという権限外の荒業を使った。当初は、この判断が早計だという批判が多かったが、結果的に支持率は下がるどころか、わずかだが上昇した。そして3月13日には「改正特措法」(新型インフルエンザ等対策特別措置法の一部を改正する法律)を可決させたが、安倍首相は緊急事態宣言を出すにあたって事前に国会に報告する義務はあるが、拒否されることはない。そういう状況のなかで東京都の感染者が急増し、いつ緊急事態宣言が出てもおかしくはない状況となっている。

 東京都の場合、25日に感染がわかった41人のうち11人は院内感染で、残り30人のうち5人は海外への渡航歴がある。感染経路が不明なのは、多くて25人ということだが、人数だけ見れば「東京都で感染が爆発的に増加した。このままでは都市封鎖をしなければならない」と煽ることができる。

緊急事態宣言が出されると、戦時中に戻る

 25日、小池百合子東京都知事が夜8時に会見をして今週末(28~29日)の外出自粛を呼びかけると報じられ、一部の人々がスーパーマーケットに並んで食料品等の買い占めに走った。緊急事態宣言が出されるかどうかはともかく、「いずれにしてもなんらかの自粛要請はされるから、食料品の確保は必要不可欠だ」と思うのも無理はない。首都圏では26日、スーパーで買い占めに近い状況が起きている。「自粛しろ。出かけるな。家にいろ」となれば、「食べるものがなければ生きていけない」と思うのは当然のことである。

 東京都に続き、神奈川、千葉、埼玉、山梨の各県が週末の外出自粛を打ち出した。今までも国の外出自粛要請を受け、多くの国民は自粛している。これ以上の外出を自粛しろということは、都市封鎖と同じことだ。

 当然、食料品の買い占めに拍車をかけるだろう。もちろん、政府が緊急事態宣言を出せば、世界中で起きたように日本でもスーパーに消費者が行列をつくり、店舗の商品は数時間でなくなるだろう。いくら政府が「食料品の在庫はある」といっても、目の前になければ誰も信じない。マスク不足に関しても、どれだけ政府にだまされたことか。

 買い占めの次に何が起きるか。それは疎開だ。首都圏に住む多くの家庭は、地方に実家や故郷がある。緊急事態宣言が出され、もしも都市封鎖が起きれば、小売店から食料品がなくなる。仕事も休みになり、学校も休校になる。そうなれば、実家や故郷に里帰りをしたほうが暮らしやすいと思うようになる。

 田舎に行けば、地元の知り合いに食料品をわけてもらうことができるかもしれない。田や畑もあるから、自給自足に近いこともできるかもしれない。何より両親や親戚と一緒に暮らしたほうが、危機を乗り越えることができるだろう。年末年始やお盆の里帰りと思えばよい。都市封鎖される前に、都市脱出が起きても不思議はない。

 まさに戦時中と同じ感覚だ。「大都市の人混みは新型コロナウイルスに感染しやすい。しかも食糧がない。地方のほうが人が少ないから安全だ、食糧もある」ということになる。

里帰りが地方で爆発的感染を引き起こすことになりかねない

 良くも悪くも、今の日本政府は「PCR検査を極力少なくし、感染者をあぶり出さないことで医療崩壊を防ぐ」という方針だ。そのため、老若男女問わず、無症状者や軽症者が数多くいると考えられる。そうした人々が地方に里帰りをする、疎開をするということになると、都会から地方に感染者を運ぶことになる。

 しかし一方、人が多い都市部ほど爆発的感染は起こりやすい。地方に感染者が分散したほうが、爆発的な感染は防ぐことができるかもしれない。一概に、一時的な地方移住が悪いことともいえない。

 いずれにしても、安倍首相含め行政の長が慌てふためいて冷静さを欠いているのではないか。国民のほうが冷静な気がしてならない。安倍首相による一斉休校、北海道から始まった緊急事態宣言、都道府県間の移動自粛など、とにかく不安を煽ること甚だしい。

 政府の専門家会議が2月24日に「これから1~2週間が急速な拡大に進むか、収束できるかの瀬戸際」と言って国民を震え上がらせた言葉は忘れてしまったのか。その後も、さらに「1~2週間」と言い続ける。専門家会議は、どんな科学的根拠に基づいて言ったのか、いまだに説明がない。

 安倍首相が全国の学校一斉休校を宣言した際、「ここ1、2週間が極めて重要な時期」としたが、あれはなんだったのか。北海道や大阪府の外出自粛要請の効果はあったのか、なかったのか、科学的な説明は一切ない。すべて、その時の気分でやったのだろうか。

 小池都知事が「都市封鎖」と言いだした。安倍首相が緊急事態宣言をするために動きだした。首都圏の多くの知事が、なんの科学的根拠もなく自粛と言いだした。テレビのワイドショーでは、出演者たちが「小池知事の自粛は1週間遅かった。1週間早ければ40名以上の感染者は出なかった」と声を張り上げる。そして「安倍首相は緊急事態宣言をするべきだ」という雰囲気を醸し出して喋りまくる。まさに、テレビ全体が安倍応援団と化してしまっている。テレビこそテレワークをするべきだろう。

 一方、国民と消費者はいたって冷静だ。トイレットペーパーのフェイクニュースも、ほとんどの消費者がウソだとわかって買い占めている。それは理屈ではなく「なくなるだろう」という消費者の感である。結果的に、棚からなくなったので買い占めは正解だったことになる。権力者が、自分や家族を守ってくれるとは限らない。国民は、自分と家族を守るために、買い占めや首都脱出という手段でささやかな抵抗をするしかないのだ。

 誰でも、これから何が起きようとしているか想像できる。日本で新型コロナウイルスを異常に恐れているのは権力者たちだ。だからこそ、いたずらに危機を煽っている。そして、それを政局に利用しようとしている。皆、次の選挙のことで頭がいっぱいなのだ。この間、日本で何が起きているのか、海外でもよくわかっていない。それは、あまりにも情報が少ないからだ。情報が少ないから、終息しても「国が国民を守った」と権力者たちは胸を張って言える。都合の悪い情報は闇に葬ればよいのだ。

 2020年の新型コロナウイルス問題の真実が明らかになるのは、10年先のことだろう。

(文=垣田達哉/消費者問題研究所代表)

垣田達哉/消費者問題研究所代表、食品問題評論家

垣田達哉/消費者問題研究所代表、食品問題評論家

1953年岐阜市生まれ。77年慶應義塾大学商学部卒業。食品問題のプロフェッショナル。放射能汚染、中国食品、O157、鳥インフルエンザ問題などの食の安全や、食育、食品表示問題の第一人者として、テレビ、新聞、雑誌、講演などで活躍する。『ビートたけしのTVタックル』『世界一受けたい授業』『クローズアップ現代』など、テレビでもおなじみの食の安全の探求者。新刊『面白いほどよくわかる「食品表示」』(商業界)、『選ぶならこっち!』(WAVE出版)、『買ってはいけない4~7』(金曜日)など著書多数。

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