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日本製鉄の没落、巨額赤字で高炉閉鎖加速…地域経済に壊滅的打撃、世紀の大統合失敗か

文=編集部
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 日本製鉄は19年11月、国内に16カ所ある製鉄所や製造所を6つの組織に再編する方針を決めた。呉製鉄所は広畑製鉄所(兵庫県姫路市、旧新日鐵)などと共に「瀬戸内製鉄所」として高炉は残る見通しだった。地元、呉市には一時、「存続する」との安心感が広がった。

 ところが、1年半後の全高炉休止、3年半後の閉鎖の方針に変更された。高炉から製品の加工・出荷までを一貫して担う国内の製鉄所が閉鎖されるのは極めて異例だ。

「まさか全面閉鎖とは」――。中国新聞電子版(20年2月7日付)は、地元に走った衝撃を、こう伝えた。

<従業員たちからは「あの火災さえなければ…」と嘆きが漏れる。呉製鉄所内の第1製鋼工場で19年8月30、31日に連続して起きた火災が、方針の急転を招いた要因の一つとみているからだ。関係者によると、30日は、溶けた鉄が転炉からあふれ、ダンプカーや建物の一部を焼損。31日の火災は、より深刻な被害をもたらした。消火の水でまだぬれていた配線に通電したため、ショート。電気系統が焼けたという。電気部門の現場を知る70代の元男性社員は「考えられないミス。再稼働を変に焦ったとしか思えない」と指摘する。(中略)火災後、復旧のめどは立たないまま。別の従業員は「急ぐ様子がないのでおかしいと思っていた」と予兆を感じていた>

 日新製鋼の呉製鉄所は17年、新日鐵住金(当時)が日新製鋼を子会社にした際、「われわれの技術力を投じれば相当強い製鉄所に生まれ変わる」(新日鐵住金幹部)と豪語していた。だが、18年、西日本豪雨で大きな被害を受けた後に、2度の火災まで発生し、壊滅状態となり、全面閉鎖に追い込まれた。

 17年、日新製鋼を買収した際、「利益創出効果は300億円」と見込んでいた。それどころか、結果的には1000億円近い赤字を抱えることとなった。「日新製鋼買収はなんだったのか」といった冷ややかな声が、製鉄業界の首脳の間から漏れてくる。

広島県呉市は呉製鉄所の企業城下町

 製鉄所は関連・協力会社が多く、地元経済を支える大黒柱である。呉市は呉製鉄所の企業城下町だ。製鉄所の全面閉鎖は地元経済に壊滅的な打撃を与えることになる。呉製鉄所は協力会社を含めて従業員3300人を抱えている。資材を納入する業者や運輸関係など裾野は広い。

 帝国データバンク広島支店によると、「日鉄日新製鋼のグループ6社と取引がある広島県内の企業は117社。うち従業員10人未満は33%。売上高が10億円未満は59%を占める」。中小企業が大半というのが取引の実態だ。呉製鉄所の仕事がなくなれば倒産、廃業するところが、多数出てこよう。

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