企業・業界のニュース
<ホテル、旅館業界も危機感を募らせる。市ホテル旅館組合は「客が3、4割減るところもあるかもしれない」。年に数回ある製鉄所の定期修繕で多くの事業者が出入りするからだ>(前出中国新聞)
今回突き付けられた3年半後の閉鎖について、「早過ぎる」とショックが広がる。全面閉鎖までの3年間で協力会社などは対応策を講じられるのだろうか。消費はとめどなく落ち込み、地域経済の崩壊が現実のものとなる。
和歌山製鉄所は和歌山経済のシンボル
日本製鉄の鉄鋼再編のシナリオでは、和歌山製鉄所は「関西製鉄所」になるはずだ。和歌山製鉄所は旧住友金属工業の主力製鉄所である。1942年の操業開始以来、地元経済の屋台骨を支える存在だ。天然ガス開発用の継ぎ目のないシームレス鋼管や、機械製品・建築物に使われる形鋼などを製造している。
休止を決めたのは510億円を投じ、09年7月に火入れした第1高炉。関連設備の第4・第5コークス炉なども含め、22年9月までに休止することになった。第1高炉には、住金出身者の思い入れが強い。新日鐵住金が誕生する前、新日鐵と統合するようになったとしても、「住金の高炉が残るように」と考え、下妻博会長以下、当時の住金の経営陣が造ったとされている高炉だからである。その第1高炉が休止になる。わかやま新報(20年2月9日付)は地元の反発を報じた。
<休止発表を受け、仁坂吉伸知事はコメントを発表。利益率の低い普通鋼スラブの生産を停止することになった一方、同製鉄所の出荷先である台湾鋼鉄向けのスラブの供給を打ち切るわけでないことから、「なぜ新鋭の和歌山製鉄所の高炉を休止するに至ったのか理解に苦しむ」との懸念を表明した>
和歌山製鉄所の敷地内で働く従業員は約3500人、協力企業を含むと約1万人に達する「和歌山経済のシンボル」だ。高炉の休止で協力会社を含め約500人の雇用に影響するため、地元に動揺が広がっている。
株価は857円まで崩落
日経平均株価の暴落で日本製鉄の株価は3月17日、857円まで下げた。昨年来高値は19年4月8日の2081円だから6割近い下げ。株価は半値以下になった。その後、3月25日に1000円台を回復したが、26日の終値は129.2円安の955.8円。一時、134.9円(12%)安の950.1円まで下げた。
(文=編集部)