NEW

【新型コロナ】五輪延期決定後に東京都の感染者数が急増…安倍政権の“長期的対策”の欺瞞

文=藤野光太郎/ジャーナリスト

 日本で重症化した治療中の患者が延命している大きな理由のひとつは、危うい感染リスクを抱えて必死で治療に勤しむ医療従事者の努力と充実した医療環境・高い延命治療術があるためだ。患者の力が尽きれば、いつ死者数が激増するかもわからない。

 実際、感染爆発直前の3月30日現在、日本は死者64人だが、前述のようにイタリアでは、3月2日に死者52人だったのが、わずか28日間で約207倍にまで急増したからである。

 小池百合子東京都知事は「東京は爆発的感染(オーバーシュート)の入口に差し掛かっており、封鎖(ロックダウン)寸前の重大局面に立っている」として、3月25日に引き続き、27日にも「外出自粛要請」などの継続を都民に求めた。

 しかし、感染者数が激増して200人を超えた時点で東京都は、すでに「感染爆発」に突入したとみなければならない。言うまでもなく感染拡大には地理的境界がなく、首都圏を越えて国内全体に広がる。事態は、より深刻度を増し続けているということだ。

 これまで日本は、独自の「振り分け」で分別した有症者にPCR検査を集中し、「量ではなく質」だとして「感染拡大の抑制に成功している」と国内外に公言してきた。だが、その対策は、果たして本当に功を奏したのか。相変わらず感染爆発の兆候がなければ、それは正しかったのかもしれないが、現実は日本に危機をもたらしつつある。

 そもそも、東京都が「感染爆発」で封鎖すれば、ウイルスを駆逐できても免疫はできないため、いずれは再びウイルスが還流する。ところが、後述するように、この期に及んでは「時間をかけて免疫を広めつつ、治療薬とワクチンの開発を待つ」などという時間的余裕もなくなってしまった。

欧米からも検査数の少なさに懐疑的・批判的な指摘が

 病気は検査を踏まえた医師の診断で確定する。日本では、海外渡航の有無または渡航者との接触の有無、さらには「高熱」が続く症状の有無など、感染の可能性が高い有症者しか検査を行わない方針を採ってきた。そのため、結果的に検査数は低く抑えられ、確定する感染者の絶対数も低くなる。

 事実、東京都が感染者数の急上昇を発表した前日の3月24日頃まで、日本でのPCR検査件数はわずか1万5000件。同時期の韓国では30万件余が検査済みだった。

 最近になって、欧米からも日本のPCR検査数の少なさを「おかしい」と懐疑的・批判的に指摘する声が出てきたが、国内では一部の専門家が以前から指摘して警鐘を鳴らしてきた。

RANKING

11:30更新
  • ジャーナリズム
  • ビジネス
  • 総合