かの『恐怖新聞』を彷彿とさせる記事
感染者の内訳は、
(1)永寿総合病院
(2)新型コロナウイルス感染症が流行している国からの帰国者
(3)知人や家族からの感染
(4)市中感染の恐れ(=感染経路不明)
の4つに大別できる。
25日の41名の内訳は、永寿総合病院で11名、帰国者が5名、知人や家族からの感染者数は不明、そして市中感染の恐れが「10名以上」である。
26日の47名の内訳は、永寿総合病院で10名、帰国者は不明、知人や家族からの感染も不明、そして市中感染の恐れが24名である。
27日の40名の内訳は、永寿総合病院で15名、帰国者は不明、知人や家族から感染した人も不明、そして市中感染の恐れが18名である。
28日の63名の内訳は、永寿総合病院が29名、海外からの帰国者が3名、知人や家族からの感染が8名、そして市中感染の恐れが23名である。63名の中には、築地にある国立がん研究センター中央病院の看護師2人も含まれているが、どの内訳に含まれるのかまでは公表されていない。
29日の68名の内訳は、永寿総合病院が27名、海外からの帰国者が6名、知人や家族からの感染が9名、そして市中感染の恐れが26名である。報道を通じて4つの内訳すべてが把握できたのは、28日と29日だけだった。
この整理をもとに、市中感染の恐れがある人の数を比べてみると、
24日 9人
25日 10名以上
26日 24名
27日 18名
28日 23名
29日 26名
となった。問題は、果たしてこの数字をもとに「感染爆発の重大局面」とまでいえるのかどうか、だろう。
一方、際立つのは永寿総合病院関連の感染者数のほうである。
23日 2名
24日 2名
25日 11名
26日 10名
27日 15名
28日 29名
29日 27名
3月29日までに感染が確認された同病院の関係者は96名にのぼり、このうち入院患者2名が死亡していた。このように、同一カ所で患者が多発することを、感染症専門家や行政、報道機関は「クラスター」(小規模な感染者の集団)と呼んでおり、ここから外に感染者を広げないのが、感染症対策の基本でありイロハ。29日までの東京都全体の感染者数が430名なので、同病院だけで全体の22%を占めている。同病院は紛れもなく「クラスター」であり、間もなく感染者数は100名を超えてしまいそうな勢いで増え続けている。
恐ろしいのは、この永寿総合病院から慶応大学病院(新宿区)に転院した患者1名が新型コロナウイルスに感染しており、慶応大学病院で同じ病室にいた入院患者3名にも感染を広げていたことだ。この事実は、3月27日に判明していた。イロハが徹底されずクラスターの封じ込めに失敗した最悪の例として、都の関係者は肝に銘じておくべきだ。