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鈴木貴博「経済を読む“目玉”」

街中で新型コロナ感染者に偶然出会う確率をフェルミ推定で推論してみた

文=鈴木貴博/百年コンサルティング代表取締役
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 そこでここから感染者数を逆算してみましょう。新型コロナの致死率はいろいろな数字が出ています。単純にその国で把握されている死亡者数を感染者合計数で割ると、イタリアが10.8%、フランスが6.2%、中国が4.0%、アメリカが1.6%、そして日本が2.9%という数字になります。そして日本の3.5%の母数である感染者数の1866人が信用できないというのが今回の問題です。

 おそらく感染者はもっと多いと考える人にとっては、論理的に推定される本当の致死率はもっと低いはずです。計算してみるとわかりますが54人から感染者を逆算する際に致死率が2%と低いと仮定すると、計算される推定感染者は36÷0.02=2700人、1%なら同じ計算式で5400人というように推定感染者数は増加します。

 さてWHOが公表している新型コロナの致死率は3.4%だとされています。ただこの数字は医学者の意見としては、本来の数字よりも高いとされています。海外の大半の国でも急速なパンデミックのせいで十分な検査ができていないのです。実際、震源地の武漢では致死率は3.4%ではなく1.4%だという論文が発表されています。武漢で確認された患者数について重度の患者の比率が高いことから、検査能力の限界があって検知されていない軽症患者がもっとほかにいたはずだという根拠で母数の感染者数を修正したようです。

 イタリアで致死率が高い理由のひとつが医療崩壊です。感染者やその疑いがある患者が病院に殺到して十分な治療を受けられないことで、助けることができない重症者が多いため致死率が高くなるということです。日本では医療が進んでいることから、日本での今日時点での致死率は武漢の推定値よりももっと低いと考えることが妥当だと思われます。

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 では日本での致死率はどの程度でしょうか。ここはフェルミ推定の際の肝となる技術ですが、なるべく確からしい数値を探すことで精度を上げていきます。私が推定するにあたって取り上げた情報が2つありました。ひとつはクルーズ船ダイヤモンド・プリンセス号のデータです。新型コロナが蔓延した場所でほぼ全数検査ができていてかつ母数が多いから統計的推論にも利用できる。治療も日本の水準で行われているという理屈です。ダイヤモンド・プリンセス号では712人が感染して死亡者は10人。致死率は1.4%でした。

 もうひとつ参考にできると考えたのが韓国です。ドライブスルー検査やウォークスルー検査を駆使してとにかく国を挙げて検査体制を強化し、その結果感染者をあぶり出すことに成功して、一時の爆発的感染者数増加から反転して新規感染者数を抑えこむことができました。そして日本と同様の先進治療が受けられる状態も維持できています。この韓国での致死率は1.6%です。

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