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中西貴之「化学に恋するアピシウス」

日本、世界初の高性能センサ「HISUI」で宇宙からのレアメタル探査も可能に

文=中西貴之/宇部興産株式会社 品質統括部
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 HISUIは、可視光線の領域から、人間には見えない短波長赤外域までを185分割してカバーすることによって得られる連続的なデータにより、資源開発分野においては多数の鉱物の分布状況の把握を、環境モニタリング分野においては森林や草原がどのような植物で成り立っているかを、あるいは山火事の発生状況の把握を、食料生産分野においては作付けされている農作物の種類や生育状況まで、現状では得ることができない詳細な情報を地上分解能20~30メートルで得ることができます。

宇宙からのレアメタル探査も可能に

 特に注目されるのは、鉱物資源の探査が可能である点です。岩石に有用鉱物が含有されていると、特徴的な光の波長を反射することがわかっています。すでに米国や中国が運用している同様のセンサを搭載した人工衛星によって、宇宙からの観測においても、それらのスペクトルは十分に確認可能であり、さらには地下の鉱物資源の予測も高い確率で成功することがわかっています。

 HISUIはそれら他国のセンサをはるかにしのぐ性能を持ち、金やプラチナなどの貴金属の探査や電子機器の製造に必須のレアメタルの探査など、いまだ人類が発見していない鉱脈を地球規模で探査することが可能です。

 現状では、そのような重要な金属の産出国は限られており、たとえばプラチナは南アフリカが世界の採掘量のほとんどを占めている状況です。日本はレアメタルを産出する鉱床は非常に小さく、今後の探査によっても増産は期待できない状況にあります。

 結果として、日本で使用するレアメタルは中国・南米などの一部の国に依存しており、有事には外交圧力の材料として利用されたり、産出国の事情によって輸入が左右されたりするなどのリスクを抱えた状態にあります。

 日本が世界規模で資源探査を行う力を持つことによって、調達先の複数国化や鉱床開発への国際協力など、先端産業の安定化に寄与するものと思われます。

(文=中西貴之/宇部興産株式会社 品質統括部)

【参考資料】
HISUI 宇宙実証用ハイパースペクトルセンサ」(宇宙システム開発利用推進機構)

HISUI開発の現状とデータの利用可能性」(Japan Space Systems)

石油資源を遠隔探知するためのハイパースペクトルセンサの研究開発

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