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新型コロナとの「戦争」に勝てるか? 政府の危機対応に見る『失敗の本質』

新刊JP

 今のコロナ禍における日本政府の対応を見ると、長期的展望に立って判断しているのかどうか、国民から見ても判断がつかない状態だ。展望をしっかり言葉にするわけでもなく、「新型コロナに立ち向かっていく」という精神論がメッセージの主体だからである。


 さらに本書では次のように指摘される。


このような思考方法は、客観的事実の尊重とその行為の結果のフィードバックと一般化が頻繁に行われるかぎりにおいて、とりわけ不確実な状況下において、きわめて有効なはずだった。しかしながら、すでに指摘したような参謀本部作戦部における情報軽視や兵站軽視の傾向を見るにつけても、日本軍の平均的スタッフは科学的方法とは無縁の、独特の主観的なインクリメンタリズム(積み上げ方式)に基づく戦略策定をやってきたと言わざるをえない。(p.285より引用)


 場当たり対応的な戦略にも良さがあるが、科学ではなく主観を重きに置いたがためにそれが有効に働かなかったということだ。


 さて、今の日本政府の対応はどうだろう。確かに長期的な戦略を策定・遂行するにあたり、いろいろな調整は必要なのかもしれない。しかし、長期的展望が欠如したまま、具体性のない呼び掛けをしていても、現場は疲弊するばかりだ。そして、短期決戦に持ち込もうというも、諸外国の状況を見る限り難しいのではないかと思える。

 

■「ウイルスとの戦争である」という認識はあるのか


 前述のように、マクロン仏大統領が「これは戦争です」と述べるなど、諸外国では、この状況を新型コロナウイルスとの「戦争」と認識している。未知のウイルスに対して勝つか負けるか、その一進一退の攻防が見えないながらも繰り広げられているのだ。


 「たいしたことはないだろう」という気持ちがどこかにあり、不要不急の外出をしたり、三密空間に赴いてしまう。そうした行動によって足を掬われることになりかねない。 何を優先すべきかは人それぞれ違うもの。だからこそ、国のトップが優先すべきことをはっきりと規定し、それに伴う被害の補償を行い、それ以上の被害が出ないようにすべきではないのか。


 『失敗の本質』を読むと、現代の日本に通じる様々な組織の問題が登場する。一方で、政治家が記者会見で語っていることをしっかりと聞き、本書の指摘する問題点がクリアされているかを判断する材料にもなる。外出自粛で、通勤時間分がポッカリと空いてしまった今。読むべき一冊である。(新刊JP編集部)


<参考サイト>
*1…文化芸術に関わる全ての皆様へ(文化庁/4月1日確認)
https://www.bunka.go.jp/koho_hodo_oshirase/sonota_oshirase/20032701.html

*2…朝日新聞:森会長が語る舞台裏 「なぜ1年」問われ首相は断言した(4月1日配信)
https://www.asahi.com/articles/ASN306X98N30UTQP01N.html


※本記事は、「新刊JP」より提供されたものです。

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