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山崎将志「AIとノー残業時代の働き方」

中小企業は在宅勤務導入に金と労力を使うより、休業して国の支援策を最大限活用すべき

文=山崎将志/ビジネスコンサルタント
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 しかし、そんな場所で人は働きたがらないので「職場」として成り立ちません。だから管理者も現場に出てくることになります。工場、倉庫、物流の責任者が現場に出てくるのなら、経営者も当然陣頭指揮をとらなければなりません。サービス業も同じです。そのため、モノや人を動かして売上が立つビジネスの基幹部分に携る人間は、ビジネスが動いている以上は出社する必要があるのです。

 では、基幹部分以外の業務に携わる人材はどうしたらいいでしょうか。彼らの多くは間接業務に携わっています。例えば入荷した部品の数をシステムに登録する、発注伝票を作る、受注処理をする、取引先からの問合せに応えるなどの業務です。ほとんどの企業ではすでに情報システムが導入されていますから、そこに自宅からアクセスすればことは足りると考える人もいるでしょう。

 しかし、現場から離れたところで入力・参照すべき情報は、実際ほとんどありません。また情報システムは強固なセキュリティの中にありますから、自宅のインターネットを介して接続させるような仕組みを構築しようとすれば、かなりの費用と時間がかかります。職場と同じレベルの仕事を期待するなら、やはり彼らも出社する必要があります。現状において彼らの在宅勤務をどうするかを検討するなら、通勤の方法や社内での衛生管理のあり方を検討すべきです。

 作業員でも管理者でもなく、間接業務にも携わらない人材がいるとすれば、彼らは「不要不急の仕事」をしていることになります。誤解を避けるために断っておきますが、この仕事に携わっている人たちは、そもそも不要な人材だと言いたいわけではなく、「重要だけれども今この状況では優先順位が低い仕事を担う人材」というだけです。この仕事を担う人たちが家で仕事をするための仕組みに投資したとしても、そもそも業務がありません。

 それに、ほとんどの会社員には、自宅に仕事をする環境がありません。ダイニングテーブルの上に置いたノートPCを覗きながら資料を眺め、オンライン会議に参加するなら、休校中の子どもに、静かにしてくれと注意しなければなりません。そんな中途半端な状況では仕事になりません。ですから彼らは復旧時までと約束して休業させたほうがお互いのためなのです。どのみち旅行も遠出もできませんから、細かく指示せずとも各自で有効な時間の使い方は考えるでしょう。もちろん、「雇用調整助成金の特例措置」の最大限の活用が前提です。

 3月28日に安倍首相が相当な長期戦になると発言しました。まともな科学者ならば終息時期に関する予測数字は明言できないほど、まだ不明点が多いのが新型コロナウイルスです。中小企業経営者はこれを字義通りに捉えて、キャッシュを厚めに用意して終息後の展開を計画しながらも、業態によっては政府の支援策を活用しながらビジネスそのものを休業し、時が来るまで待つという選択肢をとる必要があると考えます。

(文=山崎将志/ビジネスコンサルタント)

* https://www.meti.go.jp/covid-19/pdf/pamphlet.pdf

●山崎将志

ビジネスコンサルタント。1971年愛知県生まれ。1994年東京大学経済学部経営学科卒業。同年アクセンチュア入社。2003年独立。コンサルティング事業と並行して、数社のベンチャー事業開発・運営に携わる。主な著書に『残念な人の思考法』『残念な人の仕事の習慣』『社長のテスト』などがあり、累計発行部数は100万部を超える。

2016年よりNHKラジオ第2『ラジオ仕事学のすすめ』講師を務める。

最新刊は『マンガでわかる 残念な人の仕事の習慣』(講談社)

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