ビジネスジャーナル > 政治・行政ニュース > アベノマスクに永田町でも絶望広がる
NEW
永田町の「謎」 現役議員秘書がぶっちゃける国会ウラ情報

「ついに官邸も終わったか」…アベノマスクに永田町でも絶望広がる、経産官僚の説明が炎上

文=神澤志万/国会議員秘書
「ついに官邸も終わったか」…アベノマスクに永田町でも絶望広がる、経産官僚の説明が炎上の画像1
緊急事態宣言を発令する安倍晋三首相(写真:代表撮影/ロイター/アフロ)

 国会議員秘書歴20年以上の神澤志万です。

 4月7日、安倍晋三首相は改正新型インフルエンザ等対策特別措置法に基づく初の「緊急事態宣言」を発令しました。対象地域は、感染が拡大している東京都、埼玉県、千葉県、神奈川県、大阪府、兵庫県、福岡県の7都府県で、期間は大型連休が終わる5月6日までを目途としています。

 緊急事態宣言について、特措法には「可能な限り国会に報告する」とあるので、4月7日13時から予定していた衆議院本会議を14時からに変更し、衆参の議院運営委員会で緊急事態宣言についての質疑が行われました。議運で質疑が行われるなんて、異例中の異例のことです。神澤も初体験でした。

 この様子は急遽NHKでも中継されたので、ご覧になった方もいると思います。普段は院内テレビやインターネットでの中継すらされないのに、議運の審議がテレビ入り、しかもNHKということで、注目度の高さがうかがえますね。

 通常の議運の会議は議長応接室で開催されます。審議内容は主に議事日程のとりまとめで、その日程に従って議長が議事運営を行うことになります。この議事日程作成についての各会派間の実質的な交渉は、理事会や国会対策委員長の会談などです。議運での審議は、その結果を追認するだけです。

 要するに、議運の審議は事務レベルなので、いつもは中継の対象外なのです。それがNHKで中継されるというのは、おそらく憲政史上初めてだと思います。そのくらいの非常事態が起きているということですね。

武田防災相の秘書室職員も感染

 それにしても、新型コロナウイルスの感染拡大が収まりませんね。7日夜には、武田良太防災担当大臣の秘書室に勤務する内閣府の男性職員の感染も公表されました。内閣府によると、武田大臣が「濃厚接触者」となる可能性は低いようですが、感染防止の観点から、今後の公務などについては保健所と相談した上で検討するそうです。

 この件については、7日の朝には永田町に「武田大臣の秘書官が発熱が続いたのでPCR検査を受けた」という話が出ていました。たとえ感染者がいても、国会は引き続き通常通り運営される予定です。国会の審議にはリモートという概念はないので、議場で行われます。ちょっと怖いですよね。

 以前から、インターネットなどでは、感染爆発や緊急事態宣言の不安もあって、さまざまなデマが拡散されていますね。実は、神澤はその火消し作業にも忙殺されていました。

 特にSNSで拡散される噂は、ほとんどがデマだと思っていただいてもいいと思います。みなさまも直接体験したこと以外は拡散しないようにしたほうが、混乱が少なくて済むと思います。ご協力をお願いします。

「アベノマスク」に世界が失笑

「1住所につき布マスク2枚を送付する」

 ドヤ顔で発表した安倍首相には世界があきれたようで、この政策は海外の報道でも揶揄されていましたね。永田町の住人たちも、「ついに官邸も終わったか。誰も総理に意見できなくなったんだ」と絶望しました。それにしても、何百億円もかけてなぜマスク2枚……という疑問について、経済産業省の浅野大介・サービス政策課長がフェイスブックで説明したところ炎上してしまい、現在は削除されているそうです。

 もちろん、政府は試行錯誤しながらも必死に新型コロナウイルス対策にあたっています。神澤は現場でがんばっている方をたくさん知っていますし、知りもしないで文句ばかり言う一部の国民には正直ウンザリしています。

 とはいえ、「マスク2枚」はあんまりですよね。休業や廃業を余儀なくされて生活に苦しんでいる人には、マスクを配るより先にすべき対策があるはずです。必要なのはマスクではなく、生活資金なのです。共産党や国民民主党が主張している通り、経済対策ではなく「感染防止のためにご協力いただくためのお金」として、所得制限などを設けずに全国民にすみやかに支給してほしいです。

 永田町では、当初は国民一人ひとりに10万円をまず給付し、その後、必要な人に必要な措置を取るという案が出ていて、神澤もそれがいいと思っていました。

 ところが、この議論が始められて1カ月ほどたっても、まだ決まらないどころか、いつの間にか「収入が減少した1世帯に30万円」となっています。「もらうためのハードルが高すぎる」「もらう前に死んでしまう」という批判もありますが、それでも、とりあえずの一歩です。迅速に支払われるよう、進めてもらいたいですね。

「コロナ離婚」や児童虐待も急増の恐れ

 最近は「コロナ離婚」という言葉もあるそうです。はじめはピンとこなかったのですが、夫婦喧嘩の末に配偶者を殺してしまったり、大怪我を負わせてしまったりする事件が報道されています。コロナのせいで減収や失職の例が増え、疲れてうつ気味になったり短気になったりして、周囲に暴力をふるう人も少なくないようです。

 児童虐待も心配ですね。子どもをめぐる問題は休校が続けば続くほど世間に見えにくくなりますから、子どもたちもSOSを発信する機会が奪われてしまうそうで、心配です。

緊急事態宣言下でも出勤せざるを得ない人たち

 緊急事態宣言を受けて、デパートや駅ビルは食料品販売を除いてほぼ閉店を発表し、カフェからパチンコ店まで多くのお店が休業しているので、街はさらに静かになります。こういうところで働く非正規雇用の方や、小さなお店の個人事業主さんにとってはかなりの痛手ですね。

 ただし、海外の大都市のような封鎖は法律的にできないので、みなさんの生活にすぐに大きな変化はないと思われます。リモートで仕事をしている方たちはそのままですし、出勤せざるを得ない人たちは電車に乗って会社に行かなければならないでしょう。

 海外諸国のように不要不急の外出をしても逮捕されることはありませんし、外にいても警察官から外出の目的を問われることもありません。公共の交通機関も、減便はあってもほぼ動いています。

 また、「緊急事態宣言が出ても、うちの会社は通常通り仕事をしてもらいます」と宣言している中小企業も多いようです。法的拘束力がなくとも、事態の重みを理解し、休業に踏み切ってくれる経営者の英断に期待するしかないのが日本の現状なのです。

 こうなると自己責任に近いですが、自分たちに判断が委ねられているからこそ、自分たちの身を守るために政府の忠告を真剣に受け止めてほしいです。そのために政府が生活を保障できないのが現状ですが、野党も積極的に政府に働きかけてほしいですね。

 ところで、政府に文句を言っている人は以前から投票に行っていましたか? 次の総選挙がいつになるかは流動的ですが、非常時の生活保障などの政策は大きな焦点になると思います。各党や立候補者の主張を聞いて、明日の日本のために1票を入れてください。思えば、このコロナ騒動は今までの生活を見直す機会にもなりそうですね。

(文=神澤志万/国会議員秘書)

『国会女子の忖度日記:議員秘書は、今日もイバラの道をゆく』 あの自民党女性議員の「このハゲーーッ!!」どころじゃない。ブラック企業も驚く労働環境にいる国会議員秘書の叫びを聞いて下さい。議員の傲慢、セクハラ、後援者の仰天陳情、議員のスキャンダル潰し、命懸けの選挙の裏、お局秘書のイジメ……知られざる仕事内容から苦境の数々まで20年以上永田町で働く現役女性政策秘書が書きました。人間関係の厳戒地帯で生き抜いてきた処世術は一般にも使えるはず。全編4コマまんが付き、辛さがよくわかります。 amazon_associate_logo.jpg

「ついに官邸も終わったか」…アベノマスクに永田町でも絶望広がる、経産官僚の説明が炎上のページです。ビジネスジャーナルは、政治・行政、, , , , , の最新ニュースをビジネスパーソン向けにいち早くお届けします。ビジネスの本音に迫るならビジネスジャーナルへ!