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今最も新興市場で注目、サイバーセキュリティクラウドって何者?コロナ下で上場来高値更新

文=編集部
今最も新興市場で注目、サイバーセキュリティクラウドって何者?コロナ下で上場来高値更新の画像1
株式会社サイバーセキュリティクラウド HP」より

 新規株式公開(IPO)に新型コロナウイルス感染拡大の影響が広がっている。3月に上場承認された28社のうち4社が上場を中止。4月は15社のうち11社が上場を取り消すという異常事態となった。

 相場が乱高下し先行きが不透明なこともあって、上場をいったん延期して仕切り直しを図る企業が続出した。株式公開の中止は2018年の5社が最多だったが、今年は前半の4カ月で15社に達した。年間の株式公開はここ数年80~90社で推移していたが、新型コロナウイルスの収束が見通せないなか、激減するのは避けられないだろう。

 3月に新規上場した24銘柄のなかで初値が公開価格を上回ったのは、わずか6銘柄(同値が1銘柄)。6勝17敗1引き分けという惨憺たる結果だった。

 こうしたなかで一人、気を吐いているのは、3月26日に東証マザーズに新規上場したサイバーセキュリティクラウド(以下、サイバーS)。人工知能(AI)技術を活用した情報セキュリティサービスを提供している。

 公募価格4500円の2倍強の9210円の初値を付け、その後、ストップ高(1万710円)。翌3月27日には、一時前日終値比2470円高(23.1%高)の1万3180円まで上昇した。上場2日で公開価格の3倍に大化けした。4月7日には一時、1万3440円となり、上場来高値を更新。終値は1万3280円(前日比1620円高)だった。

 令和へ改元された早々、サイバーセキュリティ省の新設が提言されるなど、国内でもサイバー対策が急務となっている。

主力サービスは「攻撃遮断くん」

 サイバーSはウェブアプリケーションへの攻撃を検知・可視化・遮断するツールをクラウドで提供する国内最大手。主力サービスは「攻撃遮断くん」。導入サイト数は1万超。サブスクリプション(定額課金)型の収益モデルで売上高の大半は既存顧客の継続利用によると説明している。

 サイバー攻撃の多くは過去のパターンの繰り返しのため、深層学習(ディープラーニング)を用いればAIで自動的にシャットアウトできる。1万超のサイトを守るなかで蓄積したデータを活用し、人間が行う監視業務をAIで代替しているという。今まで発見されていない攻撃についてもAIが予測し、対処できる仕組みをつくるべく開発を進めているそうだ。

 米アマゾン・ドット・コムのクラウドプラットフォーム「AWS」に特化した2つのセキュリティ・サービスを展開しており、すでに50の国と地域で導入実績があるという。新型コロナウイルスの感染拡大で「在宅勤務が増え、会社がもぬけの殻という状態はハッカーに狙われやすい。ビジネスでプラスに働く。コロナのビジネスへの影響はない」(大野代表取締役)という。

 2019年12月期の売上高は8億1600万円(前期比67%増)、営業利益は1億4300万円(18年期は2900万円の赤字)、当期純利益は1億5300万円(同2700万円の赤字)。コロナウイルスによる影響は計算に入れていないが、上場初年度の20年12月期は売上高が19年期比38%増の11億2600万円、営業利益は24%増の1億7900万円、当期純利益は9%減の1億4000万円を見込んでいる。

高校生の16歳で事業を立ち上げ

 代表取締役の大野氏は1990年6月生まれの29歳。早稲田大学卒。高校生の16歳の時、個人事業主として起業家人生をスタート。広告代理店の下請けで若者を対象に市場調査を請け負ったという。2009年、18歳でユニフェクトを起業。お金は稼げたが、その会社は売った。その後、弁当配達会社スターフェスティバルに入社した。同社で3年間過ごし、16年11月、大野氏はサイバーSの代表取締役に就いた。これからニーズが高まる市場は、セキュリティとビッグデータと考えた。

 ベンチャー起業家の横田武志氏が2010年8月、アミティエを設立。13年、「攻撃遮断くん」の提供開始。14年、サイバーSに社名を変更した。大野氏はサイバーSに転じて2年後の18年9月、CEO(最高経営責任者)となった。社会的信用を高めるため、株式上場と米国に子会社を設立して海外展開を目指すことにしたという。

 サイバーセキュリティの分野は大激戦区だ。独立系のサイバーSは今後、大化けするのか。さらなる飛躍に期待が寄せられる。

(文=編集部)

【続報】 

 サイバーセキュリティの株価は8日も続伸。一時、1万5730円(2450円高)と高値を更新。「日経」(4月9日付朝刊)は〈IPO銘柄に資金流入〉とし、〈8日の東京市場で3月下旬に東証マザーズに上場したサイバーセキュリティクラウドは一時18%高となった。売買代金は109億円と新興市場で断トツだった。政府の緊急事態宣言で企業は在宅勤務を強化しており、テレワーク関連銘柄として個人の買いが集まった〉と報じた。

BusinessJournal編集部

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