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日本発「アビガン」、世界中でコロナ治療の治験が急ピッチ…副作用がことさら強調され過ぎ

文=鬼塚眞子/一般社団法人日本保険ジャーナリスト協会代表、一般社団法人介護相続コンシェルジュ協会代表
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「致死性の高力価インフルエンザ感染モデルでは、タミフル治療で3日ほどの延命は得られるが多くのマウスが死亡する。しかし、アビガンは、すべてのマウスを生存させるという強い治療効果を示した。このRNAウイルスの致死性感染症に対する生存効果は。その後、エボラ出血熱への治療の際に効果を発揮した」

 RNAウイルスは自らが増殖するためにアビガンを“飯のタネ”と間違えて取り込み、取り込まれたアビガンがRNAウイルスを攻撃し、RNAは活動を停止してしまうというわけだ。2015年にフランス国立保健医学研究機構(インサーム)は、ギニアで発生したエボラ出血熱に対する臨床試験の中間解析結果で、アビガンの有効性が示唆されたと発表している。

 では、なぜ新型コロナウイルスにアビガンは有効とされるのか。

 3月21日に発表された白木名誉教授の論文(「週刊日本医事新報5004号」掲載)には、次のように書かれている。

「コロナウイルスはエンベロープを有するので、エタノールや有機溶媒で容易に感染性がなくなる(不活化できる)。RNAウイルスの中で最大のゲノム(遺伝子)を有しており、プラス鎖一本鎖のRNAを遺伝子とする。その長さは約30kb(3万個の塩基)である」

 そして前述の通りアビガンにはRNAウイルスの活動を停止させる機能があるため、国内のみならず海外からも注目を浴びるようになっているのだ。

ドイツ政府、アビガンを大量調達

 3月31日にはアメリカの政治サイト「ポリティコ」が、新型コロナウイルス感染症の治療に有望だとして、アビガンを米国の感染者に投与できるように、米政権幹部らが食品医薬品局(FDA)に迫っていると報じた。今月2日には、ドイツ政府がアビガンを大量調達することが発表された。また9日、富士フイルムホールディング(HD)が、アメリカにおいてアビガンの治験を開始することを発表するなど、その承認に向けて各国から追い風が吹き始めた。

 そこで気になるのは副作用だ。白木名誉教授は3月28日発行の「週刊日本医事新報5005号」」論文で「動物実験において、初期胚の致死および催奇形性が認められた」と報告している。この「催奇形性」がクローズアップされ、一部では「アビガンには猛烈な毒性がある」との噂がひとり歩きしており、実際に筆者が取材しているなかでも、そう発言する人もいた。

 筆者は某機関で治験審査委員を務めており、富士フイルムHDおよび富士フイルム富山化学やアビガンの治験実施機関とは一切の利益関係はないが、治験では関係者に守秘義務が課せられ、多くの人の協力の下で行なわれる。また、動物実験で催奇形性が認められた場合、治験では妊娠中の女性や妊娠を希望する女性やパートナーは実施対象から外される。

 また、実際の臨床現場でも、妊娠中や妊娠を希望する男女には極めて慎重に投薬が行われるため、もし承認されても臨床現場で進んでアビガンを妊婦、妊娠希望の女性やそのパートナーに投与する医師がいるとは考えにくい。

 毒性については、筆者が調べた限りでは、NMPA(中国国家薬品監督管理局)やPMDA(医薬品医療機器総合機構)の公表資料では言及されていない。

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