感染者が出ても休めない派遣社員の悲劇

「同じ部署にコロナ感染者が出た直後、『休むな』とだけ言われました。仕事量が多いので仕方ないですが……」

 最後は、東京都内のITアウトソーシング会社に勤める40代の女性派遣社員。業務内容はオフィスでのデータ入力だ。

「『人の命を軽く見るな』とツイッターで炎上しましたが、会社の内情はひどいです。部署ごとの担当マネージャーの教育が、まるでできていないんです。社内で感染者が出たのにフロアのレイアウトを変えません。私なら『感染者が出たのでオフィスのレイアウトを変更します』と、机を3mくらい離して衛生管理を徹底しますが、隣の机との距離は1mのままです。マスク必須という割に『自分で用意して』ですし、窓が開かない部屋でパソコンをいじらされています。『(感染した場合に死亡率が高い)高齢者と同居している人』など、家族構成を聞いたりもしません」

 都内の各病院は「コロナ病床」がほぼ満床であり、医療崩壊も危惧されている。ツイッターでは、勤務するドクターからの「人と会わず、外出を控えてほしい」という警告も目にする。彼女の感覚も当然だ。

 同社では地方の拠点でも感染者が出たが、会社の対応は「あなたは休むって言うけど、いつまで?」と上から目線だという。セキュリティ面からテレワークにも移行できず、ほとんどの派遣社員がおびえながら仕事をしている。休業補償に関する話も一切ないどころか、感染が怖くて休んだ社員のしわ寄せで残業をしているそうだ。

「ブラックもいいところです」とため息をつきながら、彼女は会社に向かっていた。

 当然だが、業種や業務形態により様相はさまざま。こんなときに見えてくるのが「雇用主」の姿である。

(文=井山良介/経済ライター)

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