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野村直之「AIなんか怖くない!」

GAFA、AI独占の脅威…心臓部=超高速ハードウェアの独占の可能性

文=野村直之/AI開発・研究者、メタデータ株式会社社長、東京大学大学院医学系研究科研究員
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AI開発競争には超高速ハードウェアが不可欠

 拙著『人工知能が変える仕事の未来』(日本経済新聞出版社)などのAI本に、AIの開花を支える超高速計算器の話が出てまいります。

“こんな数字があります。筆者が社会人1年生の時に開発チームの末席に加わった、NEC(日本電気)初のスーパーコンピュータSX-2の性能が1985年、1.3 G Flops(1秒間に浮動小数点演算13億回)でした。出荷時点で世界最高速。一方、2016年に、ディープラーニングの実験用に、100万円未満で買い求めたエヌビディア社のグラフィックボードGTX1080を4枚搭載したPCは、36 TFlops(1秒間に32bitの浮動小数点演算36兆回)という性能です。これは、2004年当時、第2位の5倍速でぶっちぎりの1位だったスーパーコン、NECの地球シミュレータより若干高速。SX-2の3万倍近い速度です。地球シミュレータの6年間のレンタル料は200億円近くに、巨額の保守費、電気代、ガス代(冷却用)が加わる。…

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 毎秒36兆回という速度は、1秒に赤道上空を7.5周という速度の光をもってして、1秒に僅か0.8μm、すなわち毛髪の太さの1/100しか進めない速度といえば実感できるでしょうか。その後、数年程度で、16bit演算ならその10倍以上、毎秒500兆回(0.5京回)を超える性能が100数10万円程度で手に入るようになっています”

 ハイエンド・ゲームのファンたちのお陰で大幅にコストダウンされたグラフィックボードの計算能力に、今日のAIの多くは支えられています。これらのボードは、本来グラフィック目的でしたから、実はAIに必要ない機能、ひいては多量の半導体も抱えています。だから、原理的にはもっとコストダウンできる。それ以上に重要なのは、同じ計算量あたりの消費電力です。AIに特化して無駄なく設計すれば、消費電力を桁違いに抑えられる。逆にいえば、同じ電力エネルギーで桁違いに高速に、多彩なAIを開発できることになります。

グーグル社が自社専用に量産するai専用ハードウェア

 2017年の前半にグーグル社が発表した第2世代のai専用ハードウェアを見てみましょう。

・2017年5月18日付gigazine記事『Googleの機械学習マシン「TPU」の第2世代登場、1ボード180TFLOPSで64台グリッドでは11.5PFLOPSに到達 』 

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 ハイエンドのグラフィックボードをご覧になったことのある方には、この写真の基板が実にシンプルで、低消費電力のように見えることでしょう。ところが、上記記事のタイトルのように、このボード1枚で、180TFlopsと、GTX1080の20倍の性能です。このボードを64枚束ねて「テラ」の1000倍「ペタ」の領域11.5PFlopsを達成しました。さらに翌年2018年の第3世代では、同程度のボードで8倍の性能となりました。

・2018年5月10日付gigazine記事『Googleが機械学習専用の第3世代プロセッサ「TPU3.0」を発表、冷却が追いつかず液冷システムまで導入する事態に 』

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 今度は、64枚束ねて、約100PFlops。これは、2011年に世界一のスーパーコンピューターとなった、理研と富士通の「京(けい)」の約10倍速。1秒間に10京回の演算が可能です。それも非常に安い値段、何桁も小さな消費電力で達成しています。

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23:30更新
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