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今治造船とJMUの財務内容には雲泥の差がある。今回の提携は今治造船によるJMUの事実上の救済である。
JMUの出資企業であるIHIは脱造船を進め、航空機エンジンに経営の軸足を移している。JMUの株式を売却して、造船から完全に手を引くのではないかという観測が流れる。国内の造船業界は川崎重工業と三井造船(現三井E&Sホールディングス)の経営統合が破談になって以来、無風状態が続いたため、世界規模の競争から、完全に取り残されてしまった。今回の国内1位と2位の連合で、「造船の再編が始まる」とみる関係者は多い。重工系の代表格である三菱重工業をはじめ大手は造船事業の縮小を進めている。
造船専業は、今治造船、大島造船所(長崎県西海市)、常石造船(広島県福山市)など。いずれも独立系だ。造船専業の瀬戸内の企業も危機感を募らせており、1、2位連合に加わることになるかもしれない。そうなれば、文字通り、“オールジャパン”の造船会社が誕生する。
(文=編集部)