「東京」で何をしたから感染したのか

 いずれの情報も、それぞれの県当局が発表したものだ。そしてどの県も発表の際、不要不急の東京出張を戒め、出張自粛を呼びかけるメッセージを添えていた。東京出張の直後に感染が判明したのは間違いないのだろう。だが肝心の、

・出張先の東京で会った人に感染は確認されているのか。無事なのか

・東京のどこで感染したのか

・東京での感染源には何が考えられるのか

といった情報がまるでないのは、どうしてなのか。あまりにもアバウトすぎて、これから火急の用事で東京に出張する人にとっても、その東京で暮らす東京都民にとっても、何の参考にもならないし、感染拡大防止にも役立たない。4月4日に判明していた岡山県のケースにしても、本人の心当たりとして、“昼食をとった店が混み合っていた”という情報があるのみだ。東京では混んでいる飲食店の利用は控えろというメッセージなのか。となると、その混んでいた飲食店にいた客は全員「濃厚接触者」と見做される恐れがある。

 例えば、その「出張感染者」は昨今話題の「繁華街にある夜間営業中心の飲食店」、すなわち銀座や六本木などにある高級クラブに立ち寄っていたり、風俗店の呼び込みについて行ったり、あるいはライブハウスに立ち寄っていた等の事実はないのか。恥ずかしくてその「出張感染者」らは、そうした事実を隠してはいないのか――。

 そんなことを考えているうち、10年ほど前のある出来事を思い出した。新宿歌舞伎町にある「濃厚接触」が売りのキャバクラにリピーターとして出入りしていた某民放テレビ局のワイドショー番組スタッフたちの間で、口内ヘルペスが大流行したのである。もちろん、その民放テレビ局では箝口令が敷かれていた。

 今の東京で外食したり息を吸ったりしただけで新型コロナウイルスに感染してしまうかのような推測は、公的機関が発表する情報として大いに問題があるし、事実としても間違っている。その証拠に、筆者はこの間、都内から一歩も出ずに暮らしているのに、家族も含め、一人も感染していない。外出の際にはマスクを着用し、こまめに手洗いを励行し、公共交通機関の利用を極力控えているからかもしれない。

 匿名の輩による無責任なツイッターの放言とは違うのだから、地方自治体の首長や職員の皆さんは、ぜひ冷静さを取り戻し、不確かでいい加減な風評を引き起こさぬよう、自らの発言に責任と自覚を持っていただきたい。

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