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梅原淳「たかが鉄道、されど鉄道」

鉄道の車輪、なぜ外側は内側より少し小さい?レールに触れる部分の幅はたった65mm?

文=梅原淳/鉄道ジャーナリスト
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 レール上部も円弧を描いているとはいえ、車輪の一部の面しかレールに接触していないので、列車が直線区間を走っているときでも左右に細かい振動が生じてしまう。この振動に加え、車両の前後左右の中心から上下方向、そして左右方向に回転するような振動とが一緒に起きると蛇行動(だこうどう)という不安定な振動が起きる。どのくらい不安定かというと、ばねなどの振動対策が不十分だと乗り心地が悪くなるうえ、速度が上がると急激な揺れが生じて列車を脱線させることすらあるという。

 やっかいな蛇行動を防ぐには、車輪の全面がレールに触れればよい。しかし、現実には不可能である。車輪の全面がレールに接触していると鉄道車両はカーブを曲がることができなくなるからだ。

 カーブのレールのうち、外側と内側とでは外側のほうが距離が長いので、車輪に求められる回転数は左右で異なる。だが、左右の車輪は車軸で結ばれているので、回転数を変えることはできない。そこで、車輪の直径を変え、カーブの外側では直径は大きく、内側では小さくなるようにしてスムーズに曲がっていけるようにしたのである。

3.レールは直線用の製品しか存在しない

 先ほどの車輪の話題でも取り上げたレールは、2017年3月31日現在で延べ4万3442.3kmにわたって敷かれている。レールには1m当たりの重さが30.1kg、37.2kg、40.9kg、50.4kg、60.8kgのものと5種類があり、長さは10m、25m、50m、150mと4種類がある。ところが、形状はどれも直線レールばかりで、メーカーである製鉄会社はカーブのレールを製造していない。

 例外は線路どうしが分岐・合流する場所に敷かれるポイント、正式には分岐器(ぶんぎき)だ。こちらはレール単体ではなく、可動部分も含めて一体となって製造されており、カーブのレールが組み込まれている。

 さて、実際にカーブの区間にレールを敷くときはどうしているのであろうか。答えは現場で曲げるのだ。その方法も誠に原始的で、大勢の作業員が一斉に引っ張ったり、押したりして、先に敷いておいたまくらぎの上に載せて固定していく。カーブの半径がきついときは、レールベンダーといって大ぶりな万力のようなものを使ってレールを曲げるのだ。

 本当のところを言うと、カーブ用のレールは実在する。どのようなものかというと、曲げても折れないようにとか、車輪が表面をこすっても耐えられるように焼き入れ加工を施して強度を高めたレールで、製鉄会社から出荷された時点では真っすぐのままだ。

4.電車のパンタグラフはどうやって上げているのか

 電車の屋根に付いているパンタグラフとは、正式には集電装置といって、架線から電気を採り入れるための装置を指す。かつては菱形のものが一般的であったが、近年の電車にはくの字型のものが主流となった。

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