NEW
梅原淳「たかが鉄道、されど鉄道」

鉄道の車輪、なぜ外側は内側より少し小さい?レールに触れる部分の幅はたった65mm?

文=梅原淳/鉄道ジャーナリスト
【この記事のキーワード】

, ,

 車庫であるとか駅の構内に電車が留置されているときには、パンタグラフが降ろされている状態をよく目にする。別にどうという光景でもないが、あるとき一人の少年から筆者に質問が寄せられた。「パンタグラフはどうやって上げているのか」と。

 確かに少年が疑問を抱くのは無理もない。パンタグラフを上げるには何らかの動力が必要だ。ところが、パンタグラフを上げなければ動力源となる電気を採り入れることはできない。それではいったい電車はどのようにしてパンタグラフを上げているのであろうか。

 方法は2通りある。一つはばねの力を利用するというもの、もう一つは圧縮空気の力を利用するというものだ。

 最初の方法は新幹線の電車の一部、JRの在来線や私鉄、地下鉄の電車で採用されている。パンタグラフのフレームに取り付けられたばねはパンタグラフが延びる方向に強い力で張られていて、ロックを解除すると勝手に上昇していく。ロックの解除はどうするかというと、バッテリーに蓄えた電気であるとか、ブレーキ用にコンプレッサーがタンクにためておいた圧縮空気を用いる。パンタグラフを下げておりたたむとときはどうするかというと、パンタグラフの根本の近くに設置された空気シリンダーに圧縮空気を入れ、やはりパンタグラフの根本にある軸を回転させると架線まで届いたパンタグラフが折りたたまれる仕組みだ。

 もう一つの方法はいま挙げた圧縮空気を用いるというもの。新幹線の車両の一部、それから電車ではないが大多数の電気機関車ではこのような仕組みが採用された。こちらはパンタグラフの根本に設置された空気シリンダーに圧縮空気を入れ、やはりパンタグラフの根本にある軸を回転させて架線へと押し上げる。超高速で走る新幹線の電車、そして電車と比べて大きな電流が生じる電気機関車では強い力でパンタグラフを押し上げていないと架線から離れやすくなってしまう。ばねの力では不十分と圧縮空気を活用するのだ。空気シリンダーは圧縮空気をためておけるので、一度パンタグラフを上げてしまえば圧縮空気を供給し続ける必要はない。

 パンタグラフを下げて折りたたむときは空気シリンダーから圧縮空気を抜く。するとパンタグラフ自体の重みで下がる。これだけでは力が足りないときがあるので、パンタグラフのフレームに取り付けたばねをパンタグラフを折りたたむ方向に張っておくつくりをもつものも多い。

(文=梅原淳/鉄道ジャーナリスト)

情報提供はこちら
RANKING
  • 連載
  • ビジネス
  • 総合