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牧野知弘「ニッポンの不動産の難点」

晴海「HARUMI FRUG」が大騒ぎ…子供の学校入学問題や住宅ローン金利上昇懸念

文=牧野知弘/オラガ総研代表取締役
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 さてこうした不安要素が次々に現れるなか、これからの不動産マーケットはどうなっていくのだろうか。カテゴリー別にみていこう。

1.住宅マーケットは下り坂へ

 HARUMI FRUGが大騒ぎだ。東京都中央区晴海に建設された五輪選手村跡地に誕生する予定の総戸数5632戸(賃貸住戸1487戸、分譲住宅4145戸)のマンション。すでに約900戸の住戸が分譲済みだが、入居開始予定が23年3月。このマンションは五輪終了後に選手村宿舎を大規模リニューアルして引き渡す予定なので、開催が遅れれば入居開始も遅れるのではないかという懸念が指摘されている。

 購入者の多くが実需ベースと思われることから、子供の学校の進入学や住宅ローンの金利上昇リスクなど購入者側にも「想定外」の事態が発生する。この処理をどうするかだけでなく、こうした不確定要因の顕在化は今後の販売計画にも甚大な影響をもたらす可能性が出てきた。

 オリンピックというブランドも、開催をめぐってこれだけゴタゴタが続いてだいぶ傷ついている。当初は割安に映った価格にも不透明感が漂いそうだ。

 実は住宅マーケットはすでに下降期に入ったというのが業界の共通認識であったが、おそらく今回のコロナ禍はこのトレンドに追い打ちをかけるものとなりそうだ。

2.オフィスビルマーケットの崩壊

 オフィスビルマーケットは五輪が開催される東京都区部のみならず、名古屋、大阪を加えた三大都市圏から地方四市(札幌、仙台、広島、福岡)のマーケットも絶好調である。だが、今回のコロナ禍は全世界で人々の動きが止まり、経済活動そのものが停止状態に陥っている。この状況は今後約半年くらいの期間でさまざまなデータで顕在化してくるものと予想される。オフィスビルマーケットは実体経済の好不調に約半年遅れて影響を受けるといわれる。今後多くの企業で売上、利益の大幅な減少が発表されるようになると、固定費の削減としてオフィスの解約や賃料減額要求がでてくるであろう。その結果、今年後半くらいから低下を続けていた空室率が反転、上昇基調を強めていた賃料が一転下落に向かうだろう。

 コロナ禍を一過性のモノとみる見方もできようが、実は今回のコロナ禍はオフィスワーカーに対して在宅勤務、テレワークを五輪時に先駆けて実施することになった。働き方改革は何も朝9時から夕方5時まで働いて残業しないというのがテーマではない。これからの時代はオフィスワーカーの多くが職能によって好きな企業と契約し、オフィスに通うのではなく自宅やコワーキング施設で好きな時間、好きな場所で好きな仕事に取り組むようになる。今回のコロナ禍は図らずも多くの業態でテレワークの可能性を広げることになるだろう。

 その先にあるのが、都心部に大量のオフィス床を用意してオフィスワーカーに「通勤」させる働き方が萎み、企業の一部ヘッドクォーターのみが都心に残るだけで、これまでのように大量の床を必要としなくなる就業形態になることを意味する。

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17:30更新
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