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3カ国の比較
DKVは、検疫効率(Quarantine Efficiency)、モニタリングと検査(Monitoring and Detection)、緊急治療の準備(Emergency Treatment Readiness)、政府のマネジメント効率(Government Management Efficiency)の4つの項目(大分類と呼ぶ)について、それぞれ6個の評価基準(小分類と呼ぶ)を設けてスコアを付けている。そのスコアを合計して、コロナに対してその国が安全か、リスクが高いか、を判断している。
合計のスコアでは、安全な国1位のイスラエルが632.32点、2位のドイツが631.07点、9位の日本が623.19点となっている。1位と2位の差はわずか1.25点しかなく、1位と3位の差も9.13点しかない。これが有意な差なのかどうか、筆者には判断できない。
では、大分類のスコアの3カ国比較を見てみよう(図1)。検疫効率では、イスラエルがドイツや日本より、ややスコアが高い。モニタリングと検査については、3カ国にあまり差がない。緊急治療の準備では、イスラエルがドイツや日本より25ポイント以上低い。
そして、政府のマネジメント効率については、イスラエルが205.4点、ドイツが189.6点、日本が179.3点と、3カ国に大きな差がついている。ここに筆者は、注目する。
この4種類の大分類は、まったく異質な評価項目である。したがって、それぞれにスコアを付けて、その国の合計点を算出しても、あまり意味がないと思う。つまり、このようなスコアの合計を基にした安全な国ランキングやリスクが高い国ランキングは、あまり当てにならない。しかし、大分類の評価項目の比較には意味がある。イスラエルはドイツや日本より緊急治療レベルが低く、政府のマネジメントでは逆にイスラエルが優れており、日本は劣っていることがわかるからだ。
以下では、大分類ごとに、小分類6項目の3カ国比較を見てみよう。それによって、日本の長所と短所が明らかになるだろう。
検疫効率(Quarantine Efficiency)
検疫効率における6項目の評価の3カ国比較を図2に示す。一際目立つのが、イスラエルの渡航制限が厳しいこと、および同国の検疫で隔離された市民への経済的支援が低いことである。検疫の規模のスコアも、やや高い。このあたりに紛争で培われたイスラエル政府の性格が窺える。
それに比べると、日本もドイツも、特徴的なものが見当たらない。したがって、検疫効率の点から言えば、日本もドイツも、イスラエルの渡航制限の厳格さを見習え、ということになるだろう。
モニタリングと検査(Monitoring and Detection)
モニタリングと検査における6項目の評価の3カ国比較を図3に示す。ここでも有事の備えがあるイスラエル政府の特徴が垣間見える。モニタリングのための政府の監視技術のスコアが最も高いからだ。
一方、ドイツは、住民全体の検査と院内検査の比較のスコアがやや高いが、これがいったい何を意味しているのかは筆者にはわからない。
日本は、診断方法の範囲や診断と予後のためのAIのスコアが他国より1~2点高いが、この程度の点差に意味があるかどうかは不明だ(誤差ではないか?)。