「医療機関での労災事故には、針刺し事故…感染症の患者さんに注射した注射針を処分する際に、誤って自分の指に刺してしまい発生する事故が多いのですが、それは明白な因果関係がありますから、関係者等の照明により割とスムーズに認定がなされます。これだけ蔓延が進んだら、特例的な扱いが必要です。」

「医療者です。医療職員の感染は一概に労災と断定出来ない難しい問題です。外来、一般病棟で(勿論防護服なし)不特定多数の患者対応をしていての感染例は労災認定となるかもしれません。

 一方、感染病棟で防護服を着用していて感染した場合、弊院の場合は防護服着用が正しく無かった→自己責任とみなされます。職務以外にも最低限の買い物等にも出掛けるでしょうし、家族等との接触も考えられ、潜伏期間も長いとなると、悔しいと思いますが一概に労災認定は難しい訳です」

 ちなみに厚生労働省は2月、「新型コロナウイルス感染症に係る労災補償業務の留意点について」(基補発0203第1号 令和2年2月3日)という通知を出している。この通知の中では「業務または通勤における感染機会や感染経路が明確に特定されているか」「感染から発症までの潜伏期間や症状などに医学的な矛盾がないか」「業務以外の感染源や感染機会が認められない場合に該当するか否か」などの実情を調査し、業務または通勤に起因して感染した場合には労災保険の給付対象になるとしている。

 つまり、労災認定を受けるためには「病院内で医療行為中に感染したことを立証すること」(業務中の災害であること)と、「感染に関する明白な因果関係」(感染経路の特定)の2つがそろわないと申請は難しいというように読める。

すべての医療機関で感染した医療従事者に労災認定を

 日本医療労働組合連合会の森田進書記長は現状を次のように語る。

「現時点では労災を申請して認められなかったという事例が増えている状況ではありません。おそらく、現場は非常に大変な状況で感染が確認された医療従事者はとにかく休ませて対応するという段階で、労災の事例は今後出てくると考えています。

 一般的には、例えば採血用の注射針を誤って刺してしまい肝炎ウイルスに感染したという際には労災は100%認められます。しかし、今回の感染症の場合はずっと病院に寝泊まりしているわけではなく、自宅で過ごしている間に感染したケースを除外できません。つまり、感染経路が不明となるケースは多く、労基署に拒否されてしまう可能性を否定できません。そうなった場合、当連合会としては個々の労働者のために事業者、労基署にかけあって闘っていく方針です。

 いずれにしても今回の新型コロナウイルス感染症に関しては、『通常通りの勤務をしている医療従事者が感染した場合には、すべて労災として認めていく』というような国の判断が必要だと思います。総合病院だけではなく、肺炎を受け入れていない一般のクリニックでも発熱して受診する患者さんは後を絶ちません。現状、どこの医療機関でも感染リスクが高い状況であることに変わりはないからです」

 ネット上では「総合病院の一般病棟ではいまだにマスクの配布支援を受けられず、何日も同じマスクを使いまわしさなければいけない」「人員不足でローテーションが機能せず、休日もなく何日も感染者病棟で勤務しなければならない」など医療現場からの悲鳴は増え続けている。簡単に人員を増員することができないのであれば、せめてもしもの時の補償や福利厚生は手厚くあるべきではないのか。

(文=編集部)

 

プレスリリース入稿はこちら サイゾーパブリシティ