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コロナ禍で小売り業界壊滅のなか、ワークマンと西松屋の売上激増の“不思議現象”

文=編集部
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ワークマンの店舗(「wikipedia」より/阪神強いな)

 新型コロナウイルスの感染拡大は小売業の売上を大きく左右している。自治体の外出自粛要請で顧客が減少。緊急事態宣言で客足が今後も遠のき続ければ、業績への影響は一段と深刻となる。コロナ禍は小売業の業態で、はっきりと明暗を分けた。

ドラッグストアはマスク特需で売上増

 ドラッグストア業界はひとり、気を吐いている。ドラッグストアやスーパーの店頭からはマスクだけでなく、トイレットペーパーやティッシュペーパーまで一時、姿を消し、大混乱に陥った。一時期の混乱は収まったものの、日用品の買い溜めを目的とした来店客は増え続けており、3月の月次売上も前年同月を大幅に上回る会社が続出した。

 昨年、ドラッグストアの売上高首位に立ったツルハホールディングスの3月の既存店売上高は14.5%増と2ケタの伸びを記録した。客数は23.6%増と大幅に増えた。日用品の買い物が中心で、1人あたりの買い上げ品目数が減ったため、客単価は7.4%減った。

 僅差ながら売上高首位の座を明け渡したウエルシアホールディングスのそれは6.1%増。うち物販は消費税増税後の19年10月が5.8%減、11月が0.2%減とマイナスだったが、2月はマスク特需で20.8%増と爆発的に伸びた。3月の物販は4.4%増だった。

 この間、調剤部門は2ケタの増収を記録。3月も13.7%増と右肩上がりの伸びを続けている。創業事業である調剤がウエルシアのドル箱だ。既存店客数は11.9%増えたが、客単価は5.8%減だった。

 21年10月にマツモトキヨシホールディングスと経営統合するココカラファインの3月の既存店売上高は6.9%減。快調に売り上げを伸ばしている業界のなかで不振が際立った。新型コロナの感染は国内に爆発的に広がっている。マスクは品不足が続く。ドラッグストア業界は4月も売上高を伸ばすことになるだろう。

【ドラッグストアの既存店売上高の前年同月比増減率、%】

             2月     3月

・ツルハHD       7.1%     14.5%

・コスモス薬品      11.3%    6.8% 

・スギHD        20.9%    6.9%

・ウエルシアHD     20.6%    6.1%

・ココカラファイン    9.9%    ▲6.9%

・マツモトキヨシHD   8.0%    ▲10.6%

・サンドラッグ      13.7%   ▲0.4%

(HDはホールディングスの略、▲はマイナス)

コンビニは「巣ごもり消費」を上回る客数の減少

 コンビニエンスストアの3月の既存店売上高は、2月の増収から一転して減った。新型コロナ感染拡大の影響で、冷凍・加工食品を買い込む消費者が増えた一方、外出自粛や在宅勤務の拡大でコンビニで買い物する客数が減少したことが響いた。

 セブン-イレブン・ジャパンは3.2%減と6カ月ぶりにマイナスに転じた。減少幅は天候不順が重なった19年7月(3.4%減)に次ぐ。客数も7.1%減った。「巣ごもり」消費の広がりでまとめ買いする来店客が多く、客単価は4.2%のプラスと押し上げられた。

 ファミリーマートは既存店売上が7.6%減り、たばこ値上げ直後の10年10月(9.9%減)に次ぐ落ち込みとなった。客数も10.1%の2ケタ減。客単価は2.5%増えた。ファミマの減少率は大手3社の中で最大だ。ローソンの既存店売上高も5.2%減。客数は7.7%減った一方で、客単価は2.7%増えた。

 コンビニ各社はデイリー食品をまとめ買いする「巣ごもり」消費は増えているが、外出自粛で、平日の夜間や週末に来店客が減った。非常事態宣言を受け平日の昼間も客数が減少することは避けられない。4月も厳しいとみられる。

【コンビニの既存店売上高の前年同月比増減率、%】

             2月      3月

・ファミリーマート    ▲0.9%   ▲7.6%

・ローソン        0.4%    ▲5.2%

・セブン-イレブン    0.8%    ▲3.2%

・ミニストップ      2.7%    ▲2.1%

(▲はマイナス)

西松屋とワークマンが売上を伸ばす

 アパレル業界は厳しい。消費増税前の駆け込み需要による反動減に加え、インターネット購入が普及し、服にお金をかける人が減っているためだ。外出を控える緊急事態宣言が追い打ちをかける。

 こうしたなかで、育児・ベビー用品の西松屋チェーンの3月の既存店売上高は21.3%増と2ケタの伸びを記録した。緊急事態で保育園が休園。そのため、紙おむつなどの消耗品の需要が増加したほか、子供玩具など室内で使用する商品が好調。客数は15.3%増えた。2月も堅調だった。

 作業服大手のワークマンの3月の既存店売上高は17.7%増と2ケタの伸びが続いている。3月は例年と比べ気温が高く、ショートソックスや薄手のTシャツ、カーゴパンツのほか、アウトドア・スポーツ向けのクライミングパンツが好調。屋内や人混みの多い場所を避け、山などに行く人が増えたからとみている。しかし、ワークマンでもショッピングセンターにある店舗では客足は遠のいており、今後、商業施設内の店舗では営業自粛の影響は避けられない。

 カジュアル衣料「ユニクロ」を運営するファーストリテイリングの国内の3月の既存店売上高は27.8%減少した。前年実績を下回るのは2カ月ぶり。店舗の営業を短縮したり臨時休業したりしたため、客数が32.4%減と大幅に減った。他方、客単価は6.9%上昇した。

「洋服の青山」を運営する青山商事は41.2%減。3月は新入社員や大学の新入学生がビジネススーツを誂える最大の書き入れ時だが、入学式が軒並み中止になった。客数は33.2%減り、売上高は過去最大の落ち込みとなった。

 ワールドも41.9%減。東日本大震災以来の落ち込みである。都市部の百貨店にある店舗で大きくマイナスとなったほかイベントの中止が打撃となった。

 大手百貨店は緊急事態宣言に基づき、主力店舗の臨時休業を打ち出した。アパレル各社は重要な販路である百貨店で、当面、商売ができない。百貨店を主力としているアパレル各社は大打撃を被ることになる。アパレルは新型コロナによる消費減退をもろに受ける代表例となっており、前途は多難だ。

【アパレルの既存店売上高の前年同月比増減率、%】

           2月      3月

西松屋チェーン   12.6%            21.3%

ワークマン     27.3%    17.7%

・しまむら      ▲4.6%         ▲12.1%

・ユニクロ      0.8%           ▲27.8%

・青山商事      ▲14.2%   ▲41.2%

・ワールド      ▲10.6%   ▲41.9%

(▲はマイナス)

(文=編集部)

BusinessJournal編集部

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