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成馬零一「ドラマ探訪記」

『映像研には手を出すな!』実写ドラマが描く“最強の世界”…原作やアニメ版にない魅力

文=成馬零一/ライター、ドラマ評論家
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【ドラマイズム】映像研には手を出すな!-【MBS】毎日放送」より

 新型コロナウイルスの影響で、新作ドラマの放送が軒並み休止となっている。そんな中、わずかに放送されている深夜ドラマ枠で盛り上がりを見せているのが、MBSのドラマイズム枠で放送されている『映像研には手を出すな!』(以下、『映像研』)である。

 本作は、芝浜高校に通う3人の女子高生、浅草みどり(齋藤飛鳥)、金森さやか(梅澤美波)、水崎ツバメ(山下美月)が映像研究同好会を立ち上げて、アニメを作ろうとする物語。

 原作は「月刊!スピリッツ」(小学館)で連載されている大童澄瞳の同名漫画。今年の1月クールにNHKでアニメ化され、大きな話題となったのだが、アニメ版が圧倒的におもしろかったため、実写ドラマ化されると聞いたときは、いろいろと比較されて酷評されるんだろうなぁと気の毒に思っていたが、ドラマ版には原作漫画やアニメ版にはない魅力があふれていた。

 メカや背景の設定画ばかり描いていた浅草みどりが、親が俳優で人気読者モデルだが、アニメを作りたくてキャラクターの絵ばかり描いていた水崎ツバメと出会って意気投合し、2人の絵を見た金森さやかがプロデューサーとなって映像研究同好会を立ち上げるという流れは原作漫画やアニメ版と同じだが、作品から受け取る印象は大きく違う。

 原作漫画とアニメ版が「アニメという表現に対するオマージュ」だったとすれば、実写ドラマ版『映像研』は、実写でどうやったらアニメのような映像表現を作り出せるか? という果敢な挑戦である。

 浅草が妄想する際に登場するメカや都市のビジュアルといったCGを駆使した妄想場面はもちろんのこと、過剰なまでに戯画化された登場人物のドタバタとした演技と、コントラストのはっきりした照明を駆使した、作り込まれたレイアウトとテンポの良い編集。隅々まで作り手の意思が込められた映像は、生身の俳優とCGを組み合わせることで作り上げたアニメのようなドラマだと言えるだろう。

 監督の英勉は、生徒たちがギャンブルで競い合う高校を舞台にした学園ドラマ『賭ケグルイ』(MBS)を過去に手がけており、実写でアニメのような表現をやるにはどうすればいいのか? という試行錯誤はすでにこの時点で試みられていたのだが、役者の演技をケレン味たっぷりの映像で見せることに全力を注いだ『賭ケグルイ』に対し、『映像研』は役者だけでなく、世界そのものを描き切ってやろうという気迫と勢いを感じる。

金森のスピーチはドラマ自体のマニフェスト

 生徒會に映像研の許可申請をする場面で、なぜアニメ研究会や無数の映像系部活動があるのに映像研を立ち上げるのか? と聞かれた金森は、以下のような討論をする。

「昨今、映像コンテンツの視聴手段が多様化し、映像媒体による垣根はなくなりつつあると言ってさしつかえないでしょう。映画をテレビで観、テレビを通信用小型デバイスで観る時代。そこで我々はすべての映像媒体に最適化されたオールマイティーな映像コンテンツを作る可能性を見出しました。これはまったく革新的かつ独創的なものです。我々は我々にしかできない唯一無二の活動をすることを約束します」

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