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垣田達哉「もうダマされない」

コロナ禍下、バター・チーズ・キャノーラ油原料の輸入激減…価格高騰の懸念も

文=垣田達哉/消費者問題研究所代表
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 オリーブ油は、必需品ということもないだろうが、非常に人気の高い油である。1月~2月累計では、減少幅が数量ベースで1桁なので、今のところ影響は少ないだろう。しかし、輸入先は、第1位がスペインで全体の約65%(数量ベース)、第2位がイタリアで約30%、第3位がトルコである。どの国も、新型コロナウイルスの影響は甚大な国々だ。今後、従来通りの輸入量が確保できるかどうか非常に心配な品目である。

 家畜用飼料のとうもろこしやホエイも2桁減少している。輸入減少が長引けば、国産の牛肉、豚肉、鶏肉の飼育にも大きな影響が出る。輸入の依存度が高いのは食料品だけではない。新型コロナウイルスの終息が長引けば長引くほど、日本の食全般に大きな影響が出るのは間違いない。

すでに米国では消費財の価格が大幅に上昇

 農水省は食料供給情報を公表し、すべての食料品で品不足は起きないとしているが、輸入先の現状については一切触れていない。ブルームバーグは、4月16日に配信した記事の中で、米国の実情を次のように紹介している。

 米連邦準備制度理事会(FRB)が15日に公表した地区連銀経済報告(ベージュブック)は「サプライチェーンの混乱と需要構成のシフトにより、運輸などの基本的サービスや一部の農産物、消費財の価格が大幅に上昇した」と報告した。

 当然のことだが、米国でもサプライチェーン(原材料の調達から販売まで)が混乱している。EU各国も、世界中のほとんどの国の経済は、大なり小なり混乱状態であることに間違いない。そうした状況のなかで、各国の輸出産業にも混乱は起きているはずだ。本当に、従来通り食料品の確保ができるのだろうか。国内在庫が十分ある間は問題ないだろうが、ある日突然「○○は、輸入が十分できないので品不足になります」と言われても消費者は困るだけである。

 しかも、日本でも緊急事態宣言が全国を対象とすることになった。国外だけでなく、国内の食料品の生産・製造体制は問題ないのだろうか。「接触を8割減らせ」となれば、食料品の生産・製造・物流体制にも大きな影響が出ることは間違いない。

 4月10日付本連載記事でも述べたが、東京都市圏(東京都、神奈川県、埼玉県、千葉県)の約3600万人の胃袋を満たすことは容易ではない。ニューヨーク都市圏は約1900万人、ロンドン都市圏は約1500万人、パリ都市圏は約1200万人だ。

 東京都市圏はニューヨークの2倍近い人口なのだ。人と人の接触を8割減らせば、東京都市圏の食は回らないだろう。食べ物がなければ人は生きていけない。医療崩壊の前に食料崩壊を防ぐことは最優先課題である。

(文=垣田達哉/消費者問題研究所代表)

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