お笑い第6世代の希望はかまいたち…霜降り明星、EXITら第7世代への逆襲が開始されたの画像1
かまいたちの厳選コント10本が収められたDVD『This is かまいたち』(2010年によしもとアール・アンド・シーより発売)

 バラエティー界を席巻する、霜降り明星、EXIT、四千頭身、ハナコ、ミキらの「お笑い第7世代」。4月からは、『第7キングダム』(日本テレビ系)がスタートし、『霜降りミキXIT』(TBS系)という第7世代をメインとする新番組も予定されている。

 そして、第7世代の台頭と同時に注目を集めているのが、「お笑い第6世代」、もしくは「6.5世代」と呼ばれる芸人たちだ。2月放送の『アメトーーク!』(テレビ朝日系)では、「僕らビミョーな6.5世代」と題し、“後輩”である第7世代の芸人らに押される格好となっている、ひとつ上の世代の芸人たちが集結。ジャングルポケット(斉藤慎二、太田博久)、かまいたち、三四郎(小宮浩信)、パンサー(向井慧)、さらば青春の光(森田哲矢)、あばれる君、というメンバーが、勢いに乗る第7世代との扱いの違いなどをぶちまけた。

 また、4月14日放送の『ロンドンハーツ』(テレビ朝日系)では、EXITの兼近大樹、四千頭身の後藤拓実、宮下草薙の草薙航基ら第7世代と、かまいたち、三四郎の小宮、パンサーの向井ら6.5世代の面々とが、人気企画「格付けしあう売れっ子たち」に挑戦。業界スタッフのアンケートから弾き出された「付き合うならこの芸人」ランキングを予想し合うことで、両世代の対立構造を浮き彫りにした。

「ブレイク中の第7世代とのギャップを上手く押し出すことで、第6世代、6.5世代は確実に仕事を増やしていますよ。それなりに泥水をすすってきているので、多少雑な扱いに慣れているというのも、制作サイドから重宝される理由でしょう」(テレビ局関係者)

フジテレビが生んだ「お笑い8年周期説」

「お笑い第○世代」というくくりが誕生したのは、とんねるず、ダウンタウン、ウッチャンナンチャン、B21スペシャルらの「お笑い第3世代」が最初だとされている。そこからさかのぼる形で、漫才ブームで活躍したビートたけし、紳助・竜介、明石家さんまらが「第2世代」に、さらに1960年代の演芸ブームで活躍したコント55号、横山やすし・西川きよしらが「第1世代」としてカテゴライズされた。

 その後の「お笑い第○世代」に明確な定義があるわけではないが、ひとつの指標になっているのが、約8年ごとにお笑い界にスターが誕生するという「お笑い8年周期説」だ。

 1980年前後に盛り上がったMANZAIブームから約8年後にスタートしたのが、ダウンタウン、ウッチャンナンチャンらが出演したコント番組『夢で逢えたら』(フジテレビ系)。そして、同番組の流れを汲む『めちゃ×2イケてるッ!』(フジテレビ系)は第4世代の代表的番組だが、そのメインであるナインティナインはダウンタウンの8年後輩だ。こう見ていくと、確かに約8年ごとにお笑い界に重要な動きがあるといえそうではある。

 実はこの「お笑い8年周期説」の普及には、フジテレビが大きく関与している。後のめちゃイケメンバーを輩出した新人発掘番組『新しい波』がフジテレビ系で放送されたのが1992年から1993年のこと。同局は、この8年後に新たな新人発掘番組『新しい波8』を放送するにあたって、「お笑い8年周期説」を強く打ち出すようになる。ご存じの通り、『新しい波8』出演者のなかから選出された芸人たちによって2001年にスタートしたのが、『はねるのトびら』である。つまり、フジテレビの押し出しもあり、2000年代初頭にブレイクしたはねトびメンバーをはじめとする芸人たちこそが、まさにお笑い第5世代となるわけである。

第6世代の希望、かまいたち

 こうして、フジテレビのコント番組を軸に展開されていった「お笑い第○世代」というカテゴライズ。しかし、ここに続くはずの“お笑い第6世代”は、思うように結果を出すことができなかった――。

 2008年、フジテレビは再び「お笑い8年周期説」にのっとり、次世代のスター芸人を発掘する番組『新しい波16』をスタートさせる。そして2009年4月、同番組の出演者から選ばれた6組の芸人たちをレギュラーとする深夜のコント番組『ふくらむスクラム!!』がスタートした。そのレギュラーメンバーは、オレンジサンセット、ヒカリゴケ、少年少女、ニッチェ、しゃもじ、かまいたち。つまり彼らこそ、“お笑い第6世代”と呼ばれるべき芸人たちなのだ。かまいたちが現在、よって、“お笑い第6世代”もしくは“6.5世代”として活躍しているのはとても自然なことである。

 しかし、『ふくらむスクラム!!』は思うように人気を獲得することができず、わずか半年で放送終了してしまう。その後すぐさま、ブレイク前のAKB48・前田敦子と読者モデルとして人気だった小森純を新メンバーに加え、2009年10月に『1ばんスクラム!!』としてリニューアルスタートしたものの、こちらも半年で終了してしまうこととなる。

 残念ながらこの時点では結果を出すことができなかった“お笑い第6世代”。『ふくらむスクラム!!』メンバーたちのその後は、順調な者とそうではない者とに分かれていく。

 同番組のレギュラーだった6組のうち、ヒカリゴケと少年少女は解散。同番組のメインキャストだったオレンジサンセットはいったん解散するも、2018年に「なかよしビクトリーズ」として再結成している。しゃもじは、ライブやネタ番組を中心に地道に活動中。そしてご存じの通りニッチェはさまざまななバラエティー番組で活躍するようになり、かまいたちは賞レースで結果を出すと共に、いまやバラエティー番組にも引っ張りだこだ。

お笑いブームに埋もれてしまった第6世代

 ニッチェとかまいたちはブレイクしているが、コント番組で結果を出せなかったという意味では、それまでの“お笑い第○世代”と比べると、やはり異質な存在であることは否めないだろう。

 フジテレビという強力な後ろ盾がありながら、どうして『ふくらむスクラム!!』は人気番組に成長できなかったのだろうか。お笑いに詳しいエンタメライターの大塚ナギサ氏はこう分析する。

「『エンタの神様』や『爆笑レッドカーペット』といったテレビのネタ番組や、『M-1グランプリ』などの大規模賞レースの影響で2000年代中頃にとても大きなお笑いブームが起きていました。『ふくらむスクラム!!』が始まった2009年も、すでにピークは過ぎつつあったものの、テレビでネタを見られる機会はまだとても多かったんです。つまり、すでにお笑いが大きなブームになっているところに、お笑い第6世代として新たなブームを仕掛けていたような状態ということ。これでは、結果として埋もれてしまったのも仕方がないことだったとは思いますね。

 また、『めちゃイケ』『はねトび』の流れを汲むフジテレビのコント番組は、本来王道であるはず。しかし、当時のお笑い界はショートネタのほうがメインストリームになっていたことで、結果として『ふくらむスクラム!!』だけがオルタナティブな存在になっていたんですよ。ショートネタ系の番組との差別化の意図もあったのか、『ふくらむスクラム!!』レギュラーメンバーも基本的にはネタ番組であまりハネていないラインナップだったこともあり、世の中に対するインパクトも小さかった。つまり、本当なら真正面から行くべきところを、“逆張り”せざるを得ない状況にあった、ということが大きな敗因となったのだと思いますね」

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