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『ゴチになります』史上初のオンライン収録…コロナ禍で総集編連発、疲弊するテレビ現場

文=藤原三星
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日本テレビ系にて毎週木曜放送の『ぐるナイ』公式サイトより

 新型コロナウイルスが猛威を振るい、緊急事態宣言が発令されてすでに3週間以上が経過。バラエティ番組はこの宣言を機にほとんどが収録を中止したため、現在は「傑作選」という名の総集編でその場をしのぐケースが急増している。出演者たちが距離を取った上で収録しているものもあるが、それは緊急事態宣言前に収録したものがほとんど。現時点で、緊急事態宣言が5月6日以降も延長されることがほぼ確定的となったため、今後もしばらくは収録が再開されないのはほぼ既定路線。そうなればオンエアできるものがいよいよ出尽くしてしまうため、今後はどの番組も「傑作選」となる可能性が極めて高いのだ。

 数多くの番組に携わるある放送作家は、コロナ禍を受けてのバラエティ番組の惨状を次のように語る。

「テレビ業界では、出演者のなかにもコロナ感染者が出るようになり、テレ朝は館内の消毒が終わるまで立ち入り禁止になったことも。当然ながら収録再開のメドは今のところ立ってません。

 いま、オンエアされてるバラエティ番組は『●月●日に収録』とテロップが入ることが多いのですが、コンプライアンス遵守を掲げるテレビ局としては、『緊急事態宣言後には収録していません』とアピールする必要がある。ゴールデン番組だとだいたい2か月前くらいの収録が多いため、GW明けでも多少のストックはあるかもしれませんが、6月からはいよいよ放送するものがなくなってしまうんです。予定通りGW明けに緊急事態宣言が解除されれば傷はまだ浅く済んだかもしれませんが、期間延長がほぼほぼ確定したので、すべてのバラエティが傑作選になることも十分あり得ますよ」

視聴者のテレビ離れが加速

 コロナショックは人気番組にも次々と飛び火し、アナーキーな作風で人気を博している『水曜日のダウンタウン』(TBS系)でも、同番組を担当する総合演出の藤井健太郎氏が「在庫尽きました」とツイッターでコメント。前回の同番組では、番組史上初めて、次週の予告編が流れないという事態に陥った。

 あるテレビ誌の記者は次のように語る。

「あらゆる規制を逆手に取ることでも有名な『水曜日のダウンタウン』でも、白旗を上げている状態です。そりゃ、普通のバラエティは大打撃ですよ。

 そもそも『水曜日のダウンタウン』は、ドッキリ企画や検証ネタで長時間にわたってロケをする、その緻密さとしつこさに定評がある番組。しかし公共放送としては、“3つの密”は自粛どころではなく厳禁なので、ロケ敢行が事実上不可能になっています。外ロケができないとなると番組としては成立しないでしょうし、そういった番組はほかにもいっぱいあります。

 いま、バラエティで主流となっているひな壇やゲームコーナーも、緊急事態宣言下のバラエティ番組では収録が不可能になり、トークをするにしても、画面上ですら1.8mのソーシャルディスタンスを取るという演出になりつつある。この違和感には、なかなか慣れないでしょうね。

 しかし、オリンピックが1年延期になってしまい、各局その穴埋めでただでさえ大変なのに、今後どうやっていくのか見当もつきません。テレワークが当たり前となり在宅時間が長くなったため、本来なら視聴率は良くなってもおかしくないのですが、このまま再放送や総集編ばかりオンエアしていると、視聴者のテレビ離れが加速するのは避けられないでしょう」

“3密”のまま強行収録のバラエティ番組も

 とはいえ、すべてのテレビマンが手をこまねいているわけではない。前出の放送作家はこう語る。

「30日に放送予定の『ぐるナイ』(日本テレビ系)2時間SPでは、看板コーナーである『ゴチになります!』を、“3密”回避のためオンラインでやるそうです。テイクアウトできる高級料理を食し、値段を予想するそうですが、収録はかなり盛り上がったとか。リモート飲み会が全盛のいま、この試みはかなり新しいですし、もしかすると新たな“鉱脈”となるかもしれません。

 やはり『総集編ばかりだと視聴者が離れる』という危機意識を持っているテレビマンは多いので、リモート企画を中心に今後も手を替え品を替えやっていこうというムードはあります。ただ、各局共にレギュレーション遵守が非常に厳格になってきており、企画が通りづらくなっているのも事実。やれることはどうしても限られてしまうため、結局は総集編過多になってしまうのは避けられないと思います。

 ただ、すでに数カ月かけて仕込みが終わり、あとは収録するだけ、という特番も中にはあります。その場合、3密状態のまま収録をこっそり強行しているケースも。いま、テレビの現場はかつてないほど混とんとしていますよ」

 コロナショックは我々の働き方だけでなく、メディアの在り方をも変えようとしているのだ。

(文=藤原三星)

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●藤原三星(ふじわら・さんせい)
ドラマ評論家・コメンテーター・脚本家・コピーライターなど、エンタメ業界に潜伏すること15年。独自の人脈で半歩踏み込んだ芸能記事を中心に量産中。<twitter:@samsungfujiwara

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