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渡辺雄二「食にまつわるエトセトラ」

ドッグフード、発がん性の疑いある着色料使用が蔓延…イヌ、色は無関係に食べるので不要

文=渡辺雄二/科学ジャーナリスト
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「Getty Images」より

 イヌやネコなどのペットは家族も同然と感じている人は多いでしょう。そんなペットに市販のドッグフードキャットフードを与えている人は少なくないと思いますが、ひとつ大きな問題があります。それは、多くの製品に危険性の高い着色料が使われている点です。

 最近のドッグフードやキャットフードは、各種の栄養素をバランスよく含んでいます。穀類や豆類、肉類、野菜類などさまざまな種類の食材が使われており、さらにミネラル類やビタミン類が強化されているのです。

 イヌを飼っている家庭では、ドッグフードのみを与えているケースもあるでしょう。ですから、ドッグフードにはたんぱく質、脂肪、炭水化物、ミネラル、ビタミンなど、イヌの成長に不可欠な栄養素がすべて含まれている必要があります。そのため、さまざまな食材を使い、さらにミネラル類やビタミン類を強化しているのです。

 ところが、そんなイヌの体によさそうに見えるドッグフードですが、実はイヌにとって不必要で、しかも悪影響をおよぼす可能性のあるものが使われています。それが、着色料です。

 東京都内のあるドラッグストアで購入した代表的なドッグフードには、タール色素の赤色40号、赤色106号、黄色4号、黄色5号、青色1号、さらに二酸化チタンが使われていました。タール色素は、「アゾ結合」や「キサンテン結合」という独特の化学構造を持ち、その化学構造や動物実験の結果から、発がん性の疑いが持たれているのです。

 過去に食品添加物として使用が認められていた赤色1号、赤色101号、紫色1号、黄色3号などのタール色素は、発がん性があるという理由で、現在は使用が禁止されています。また、今でも使用が認められている赤色2号については、アメリカで行われた動物実験で、発がん性の疑いが強まったため、同国では使用が禁止されました。

 前出の赤色40号と黄色5号は、赤色2号と化学構造がよく似ているため、これらも発がん性の疑いが強いといえます。また、赤色106号は、諸外国では発がん性の疑いがあるとの理由で、添加物としての使用が認められていません。青色1号は、それを溶かした溶液をネズミに注射した実験で、がんの発生が認められています。

 さらに、二酸化チタンは、原材料を白く着色するためのものですが、ネズミに2年間吸引させた実験で、肺がんの発生率が高まることが確認されています。

着色料不使用の製品も

 ペットフードの製造会社は、なぜこうした危険性のある着色料をあえて使うのでしょうか。その理由は、えさに緑、うす黄、赤茶などの色を付けて、見た目をきれいにするためでしょう。つまり、カラフルなえさにすることによって、飼い主の購買欲をそそろうとしているのです。しかし、イヌにとってはえさに色がついていようといまいと関係ないのです。おいしければ食べるのです。

 我が家では、知人がある事情から飼えなくなった小型犬を引き取って5年以上育てていますが、基本的には肉や野菜をゆでたものを食べさせています。ただし、市販のドッグフードもあたえています。手間がかからないということもありますが、栄養素をバランスよく含んでいるからです。

 そのドッグフードには着色料は使われておらず、茶色い色をしていますが、イヌはおいしいのか喜んでガツガツ食べます。つまり、イヌにとってえさの色は関係ないのです。おいしければ喜んで食べるのです。

 市販のドッグフードの多くには、タール色素や二酸化チタンなどの着色料が使われていますが、イヌの健康のことを第一に考えた製品づくりをするのであれば、着色料の使用はやめるべきでしょう。

 キャットフードもドッグフードと同様に多くの製品に着色料が使われています。ある代表的なキャットフードには、タール色素の食用赤色102号、食用赤色106号、食用黄色5号、食用青色1号、さらに二酸化チタンが使われていました。

「食用」となっているのは、食品添加物として使用が認められていて、人間が食べる食品にも使われていることを意味しています。ただし、実際には赤色102号、赤色106号、黄色5号、青色1号と同じです。

 赤色102号は、一般には紅ショーガや福神漬けなどに使われているものですが、化学構造がアメリカで使用禁止となった赤色2号とよく似ています。したがって、発がん性の疑いがあります。また、赤色102号は人間にアレルギーの一種の蕁麻疹を起こすとして、皮膚科医の間では警戒されている添加物です。

 家で飼われているイヌやネコは、毎日与えられるえさを食べ続けるしかありません。市販のドッグフードやキャットフードのなかには着色料を使っていない製品もありますので、原材料の表示をよく見て、着色料不使用の製品を選ぶようにしたいものです。 

渡辺雄二/科学ジャーナリスト

渡辺雄二/科学ジャーナリスト

1954年9月生まれ。栃木県宇都宮市出身。千葉大学工学部合成化学科卒。消費生活問題紙の記者を経て、82年からフリーの科学ジャーナリストとなる。全国各地で講演も行っている

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