離職票に「自己都合」と記載されていても「会社都合」にできる!

 しかし、現実には、退職後に勤務していた会社が発行する離職票では、実質的に会社都合でも自己都合扱いにされているケースが、驚くほど多い。業績不振で肩たたきに応じたら「転職希望」と、事実と異なる内容が書かれていたなんてことも日常茶飯事だ。

 そんなときももちろん、あきらめる必要はない。ハローワーク(以下、ハロワ)で失業手当の受給手続きをする際に、異義を申し立てれば、その扱いが覆ることも珍しくない。

 下の表に記載されているどれかの要件がひとつでもあてはまっていれば、たとえ離職票では「自己都合」扱いになっていても、ハロワで「会社都合」と判定される可能性大だ。

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『失業保険150%トコトン活用術』(同文舘出版)より

 たとえば「事業主から直接、若しくは間接に退職勧奨を受けた」ケース。解雇通告はされていないが、やんわりと「辞めてくれないか」と言われて渋々、それに従ったというようなケースなら、文句なく会社都合になる。そのほか、契約書の条件と実際の勤務条件が異なっていた、給与のたび重なる遅配、不当な配転、職場いじめなども、会社都合と認定されるケースである。

 ただし、いずれもハロワで「証拠」の提示を求められることがネックとなっていて、職場いじめなどは、「同僚の証言を文書にして提出せよ」などといわれるケースも多い。ここで注目したいのが、比較的容易に証明できる項目だ。大幅な減収や、法令で定められた基準を超えた時間外労働など、事実関係を数字で出せれば、難なく「会社都合」に判定は覆るからだ。

 たとえば「賃金が85%未満に低下した」や「3カ月連続して45時間を超える時間外労働が行われた」ようなケース。これらは、給与明細やタイムカードのコピーなどによって客観的に証明しやすい。該当する人は、退職前から用意周到に証拠を確保しておけば、「会社都合」の認定を受けるのはそんなに難しくないだろう。

 注意したいのは、冒頭で紹介したKさんのように、有期雇用の契約社員が「期間満了」で退職するようなケースだ。

 有期雇用の場合、単に「契約期間満了」というだけでは、原則として自己都合扱いになる。「あらかじめ退職時期は予期できるので、そのための準備もできたはず」という理屈だ。そのため、給付制限こそつかないものの、給付される日数は会社都合と比べると、かなり少ない。

 契約期間満了退職の場合、「労働者が契約更新を希望したにもかかわらず、会社側がそれを拒絶した」場合に、初めて会社都合となる。そこで、契約満了までに更新希望の意志を会社に伝えるか、雇い止めを通告された際に雇用継続を求める文書を会社側に提出しておくのがコツだ。まかり間違っても、自分から「辞表」や「退職願い」を出してはいけない。それが自主退職の証拠にされかねないからだ。

 冒頭で紹介したKさんも、契約満了後の4月1日にわざと出社して、責任者に抗議文を渡したという。

「副支店長ら3名が待ち構えていたので、抗議文を走り書きして渡しました」

 そうした証拠さえ確保していれば、少なくとも雇用保険上は、会社都合が認められて有利に失業手当を受給できるはずである。

 今のような非常事態においては、とにかく1日でも長く生き延びて、事態が収束するのを待つことが大事だ。そのための知恵を身につけておきたいものである。
(文=日向咲嗣/ジャーナリスト)

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