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イオン、ドラッグストアと不動産で稼ぐ収益構造に…スーパーが足かせ、新型コロナが追い打ち

文=佐藤昌司/店舗経営コンサルタント

 これに対し、イオンは“GMS改革”を掲げて対策を講じてきている。ブラックフライデーを開催したり、買った商品をすぐに食べたいという「即食需要」を取り込むため、できたての飲食料品をその場で味わえる「ここdeデリ」の展開に力を入れたりしている。だが、抜本的な改革には至っていないのが現状だ。もっとも、改革は一朝一夕にいくものではない。成果が出るまでには、もう少しの時間が必要なのかもしれない。

 とはいえ、足元では新型コロナの感染拡大による世界的な消費減退があり、悠長なことを言っていられないのも事実だ。GMS改革を進めるほか、GMSの苦境を補える革新的な施策が必要だろう。

 当然、イオンは手をこまぬいているわけではない。新しい施策を次々と打ち出している。昨年11月に英ネットスーパーのオカドと業務提携したのがそのひとつだ。オカドが持つAI(人工知能)やロボットを活用した倉庫や物流のノウハウを活用し、食品などのネット販売を強化する。23年には倉庫を建設する計画だ。30年までにネットスーパーの売上高を6000億円に拡大する。

 イオンリテールはスマートフォンを活用したセルフレジを拡大させる。サービスの名称は「レジゴー」。来店客は専用のスマホで商品を買い物カゴに入れるたびに商品のバーコードをスキャンして登録し、買いたい商品をすべて登録し終えてから専用のレジで会計を済ませる仕組み。レジで店員が商品登録したり、来店客がセルフレジで商品登録する仕組みでは、レジ待ちの列ができることが少なくないが、レジゴーは売り場で商品登録するため、レジを待たずに会計できる。19年度に2店舗で導入していたが、20年度に20店に拡大させる考えだ。

GMS改革に加えて、新型コロナ対策も必要に

 ただ、こうした施策の効果が出るのは、少し先になるだろう。そうしたなか、足元では新型コロナの感染拡大が影を落とす。イオンは全国で運営する商業施設「イオンモール」の全142施設のテナントや商業施設「オーパ」「ビブレ」「フォーラス」の22施設の営業を4月18日から臨時休業している。政府が発令した緊急事態宣言の対象が当初の7都府県から全国に拡大したためだ。イオン直営のGMSや食品スーパーは営業を続けるものの、この休業により収益は減ってしまうだろう。

 一方で、新型コロナの感染拡大を受けた全国の小中高校などで続く一斉休校や在宅勤務が拡大したことで、3月はイオンのグループ各社において加工食品や冷凍食品が好調だという。また、家庭用品が引き続き好調だ。そのため、イオンの食品スーパー各社の3月の既存店売上高は総じて好調だ。

 だが、GMSのイオンリテールは7.1%減と苦戦した。衣料品が落ち込むなど、新型コロナのマイナスの影響が出たとみられる。こうしたことに加え、イオンモールなどの休業でテナントからの家賃収入が落ち込むことが考えられる。これらを総合的に考えると、新型コロナの影響はグループ全体ではマイナス面のほうが大きいだろう。イオンはGMS改革に加えて新型コロナ対策に万全を期す必要がありそうだ。
(文=佐藤昌司/店舗経営コンサルタント)

●佐藤昌司 店舗経営コンサルタント。立教大学社会学部卒。12年間大手アパレル会社に従事。現在は株式会社クリエイションコンサルティング代表取締役社長。企業研修講師。セミナー講師。店舗型ビジネスの専門家。集客・売上拡大・人材育成のコンサルティング業務を提供。

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