NEW

武田薬品、代名詞「アリナミン」を手放す理由…巨額の有利子負債問題、売却先選び混迷

文=編集部
【この記事のキーワード】, ,

 一方、武田CHは武田薬品経営企画部長・社長室長を兼務していた福富康浩氏が、暫定的に社長になったが、18年3月末からは事実上、社長は空席となった。18年9月、野上麻理氏が武田CHの社長の椅子に座った。大阪外国語大学(現・大阪大学)英語学科卒。P&Gジャパンに入社。マックスファクタージャパンプレジデント、P&Gヴァイスプレジデントを経て12年、英アストラゼネカに転職。14年から執行役員。日本法人の呼吸器事業部本部長だった野上氏をヘッドハンティングした。2児の母でもある。

 武田薬品がクリストフ・ウェバー社長体制になったのは14年6月だ。「野上氏の起用はタケダが外資系企業になった証拠」といわれた。野上社長は「売却へのロードマップをつくる」とみられていた。

武田CHを売らなければならない切実な事情

 武田薬品には武田CHを売らなければならない切実な事情がある。19年4月、アイルランドの製薬大手シャイアーの買収を完了。買収額は日本企業として過去最高の460億ポンド。最終的には円高の影響もあり日本円で6兆1984億円となった。有利子負債は19年12月末時点で5兆円超に膨らんだ。債務圧縮のため最大100億ドル(約1兆1000億円)規模で非中核事業を売却する方針を打ち出した。

「売り上げの25%を占めるノンコア資産はすべて売却候補」とウェバー社長自身が再三言ってきた。消化器系、がん、中枢神経系、希少疾患、血漿分画製剤の重点領域以外の医薬品はもちろん、大衆薬もこのノンコアの範疇に入る。

 19年5月、眼科用治療薬「シードラ」をスイスのノバルティスに最大53億円(約5800億円)で売却すると発表した。今年4月には欧州の医薬品事業の一部をデンマークのオリファームに最大6億7000万ドル(約720億円)で売却すると公表した。シャイアー買収後の売却は5件、計76億ドル(約8200億円、発表ベース)まで進んだ。

武田CHは大衆薬業界で4位

 武田CHの19年3月期の売上高は641億円、営業利益129億円。18年3月期(売上785億円、営業利益212億円)から大幅な減収・減益となった。人口減を背景に国内の大衆薬市場が伸び悩んでいることが減収減益の最大の要因だ。

 大衆薬業界は栄養ドリンク「リポビタンD」や風邪薬「パブロン」を持つ大正製薬を傘下にもつ大正製薬ホールディングス(HD)の売上高が2905億円(20年3月期見込み)でトップ。2位は目薬が主力のロート製薬の1840億円(同)だ。

 第一三共の大衆薬子会社第一三共ヘルスケアの20年3月期の売上高は685億円。21年3月期は740億円の見込みだ。武田CHは発足当初、年商1000億円を目標にしていたが、年々、売り上げを落とし4位にとどまる。

RANKING

17:30更新
  • 企業・業界
  • ビジネス
  • 総合