「最近は、スマートフォン等の発達により、やり取りが残っていることや、加害者側が写真や動画を残していることもある。全国の警察や産婦人科にレイプキットが配備され、DNA証拠等を長期保存する体制があれば、犯罪事実と向き合う気持ちになったときに、告訴することも可能だ」(Spring)

 誰でも簡単に動画や画像を記録できるようになり、直接犯行を裏付ける証拠が残る可能性がある。また、医療機関や警察にレイプキットが配備され、身体的な証拠が保全される体制が確立すれば、当事者の供述のみに頼らず立証が行える。何より、加害者を刑事告訴することは、性犯罪により深く傷つけられた人権を取り戻す重要な手段だ。

「13歳」という性的同意年齢

生徒や就活生に対する性犯罪の実態…性犯罪に時効は必要か?性的同意年齢「13歳」に異論もの画像2

 

 性的同意年齢を「16歳未満」に引き上げるよう求める声も高まっている。

 現行刑法では、被害者が13歳以上であれば、成人と同様に強制性交等罪(刑法177条)が適用され、「暴行」「脅迫」要件がなければ犯罪は成立しない。性に関する知識も経験も乏しい中学生が教師との性行為を拒否できなかったとしても、暴行脅迫がなければ刑法上の性犯罪に問えない。児童福祉法および各都道府県の青少年保護育成条例(いわゆる淫行条例)で処罰の対象となるものの、強制性交等罪に比べて刑罰が軽く、「淫行(みだらなおこない)」という捉え方も保護の実態に合わないという指摘もある。

 安田教授は、性的同意年齢を義務教育終了まで上げることは女性が16歳で結婚できることとの整合性も取れるとした上で、次のように指摘する。

「同意年齢を上げるということは、同時に性的自由を奪うことになる。教師や親からの性被害から守られる一方で、理論上は中学生同士のカップルのキスや性行為も犯罪となってしまう。また、知的障害者の同意能力を低いものと考えるかという議論もあるが、性的自己決定の自由を奪い、自由な恋愛の機会も奪うことになる」(安田教授)

 規制を強めれば、他方で自由を奪う。刑法改正を訴える市民団体の作成した改正案(叩き台)【※2】では、16 歳未満同士の性交渉を除外することでこの批判を回避するが、これによっても17歳と16歳の性行為は処罰の対象となるなど、問題は残る。

 もっとも、2017年の刑法改正により、18歳未満の者に対する監護者による性犯罪は、「暴行」「脅迫」がなくても犯罪となった(監護者わいせつ罪及び監護者性交等罪 刑法179条)。安田教授は、監護者以外の、子どもが被害に遭いやすい類型について、次のように示唆する。

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