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松岡久蔵「空気を読んでる場合じゃない」

コロナ禍、「パパ活」女子と根深い経済問題…女性・男性双方にリスク、脅迫や美人局も

文=松岡久蔵/ジャーナリスト
コロナ禍、「パパ活」女子と根深い経済問題…女性・男性双方にリスク、脅迫や美人局もの画像1
「Getty Images」より

「大人3でいかがですか? 近場なら2でいいですよ?」

 20代ごろの若い女性が、主に30代以上の男性との食事やデートに付き合う対価として金銭を受け取る「パパ活」では、このようなメッセ―ジがアプリ上で飛び交っているという。冒頭の「大人3」は「3万円でホテルに入る」を指す隠語だ。

 新型コロナウイルスの感染拡大で、経済減速が余儀なくされるなか、失業を余儀なくされた女性がパパ活に走るケースが増えているという。パパ活の実態に詳しい30代の男性会社員はこう解説する。

「パパ活は基本的にアプリを通じて行います。若い女の子とヤリたい男とカネが欲しい女の子がマッチすれば交渉成立というケースもあります。相場はだいたい3万円というところでしょうか。女の子によっては7万円など通常の相場の2倍以上を提示してくることがあり、交渉次第でかなり変動します。ただ、なかには『茶飯女』と呼ばれる、ご飯やお茶だけで5000円や1万円をとる子もおり、必ずしも肉体関係におよぶわけではないのも特徴です。

 パパ活自体はコロナの感染拡大前からありましたが、飲食店などの営業自粛の影響に加え、キャバクラなど夜の街でも働けなくなった女性がやむを得ず流れ込んでくるパターンが今年に入り増加しました」

岡村発言

 5月1日、人気お笑いコンビ、ナイティナインの岡村隆史氏がニッポン放送系のラジオ番組での発言が物議を醸した。岡村氏がリスナーからの「新型コロナで風俗に行けない」との相談に対し、「収束したら、なかなかのかわいい人が短期間ですけれども、お嬢やります」「短期間でお金を稼がないと苦しいですから」と返答したもので、批判を浴び謝罪に追い込まれた。これについて、風俗業界への取材が長いライターはこう話す。

「コロナ禍は普通の経済不況とは違うので、そもそも風俗やキャバクラに行く余裕がある人が減ってくれば、店自体がなくなっていく可能性もあります。昼の商売が細れば当然、夜の商売も細りますから。パパ活はアプリに登録するだけで商売を始められるところが、最近注目を集めている要因なことは間違いありません」

跋扈する美人局

 パパ活に頼る女性が増える背景はわかったが、個人同士で手軽につながるということにはリスクも付きまとう。先の会社員男性によると、スケベ心につけ込もうとする業者がアプリ内では跋扈しているという。

「基本的に女の子の写真にグラドルだとかアイドルの卵だとか、売り文句が入っているのは怪しいですね。こういうのはもはや素人ではなくて、専門業者である可能性が高い。決して彼女らが個人で動いているわけではないので、揉めると強面の男性が出てきます。男性側が何もしてなくてもトラブルに巻き込まれる可能性もあります。

 プロフィールに『既婚者歓迎』とか書いてあるタイプも美人局のパターンが多く、会ったあとに男が出てきて『家庭を壊す』とか言って脅すパターンですね。基本的には彼らもあまりしつこくして警察にパクられたくないですから、10万円ぐらいの金額を要求してそのまま去るケースが多いと聞いています」

 ただ、悪質になると免許証など身分証明書をコピーされて脅され続けるリスクも考えられるため、とても「安全な遊び」とはいえないのが実情だ。

女性にも脅迫・妊娠リスク

 コロナによる経済不況で、金銭的な事情からやむにやまれず、少なくない女性がパパ活に走る実態があるという指摘もなされているが、男性だけでなく女性側にもリスクはある。筆者がパパ活アプリに登録して女性のプロフィールを見たところ、勤め先の飲食店の写真をアップしているケースもあり、男性に悪意があれば脅迫される恐れもあると感じた。それに、業者ではない場合には基本的に誰も守ってくれない無防備な状態にさらされることになる。最悪、妊娠させられるリスクもある。

 私個人としては、本当にお金に困っている女性にはキレイゴトに聞こえてしまうかもしれないが、パパ活に手を出すのはやめてほしいと思う。パパ活の本質は、年上男のカネと女の若さのトレード。普通に働いていても手に入らないカネがすぐに手に入るのは確かに快感だろうし、贅沢も楽しめるかもしれない。ただ、そういう質のカネを平気で受け取るようになると、必ず、感覚が狂ってくる。若さだけで通用する時期が過ぎれば、カネ儲けで変にショートカットした分、フツーの世界には戻りにくくなる。もし、迷っている人がいたら、名作『15歳、プロ彼女~元アイドルが暴露する芸能界の闇~』『闇金ウシジマくん(フーゾクくん編)』を読んで、ぜひ思いとどまっていただきたい。

 やはり不況は、一部の人を除いて、多くの人を不幸にする。政府には一日も早く経済対策を実施してほしい。

(文=松岡久蔵/ジャーナリスト)

松岡久蔵/ジャーナリスト

松岡久蔵/ジャーナリスト

 記者クラブ問題や防衛、航空、自動車などを幅広くカバー。特技は相撲の猫じゃらし。現代ビジネスや⽂春オンライン、東洋経済オンラインなどにも寄稿している。
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Twitter:@kyuzo_matsuoka

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